エンテロウイルスD68(EV-D68)感染症とは

(2015年10月22日掲載)  EV-D68はエンテロウイルス属のウイルスの一つである。エンテロウイルス属には、ポリオウイルスや、無菌性髄膜炎の原因となるエコーウイルスや手足口病の原因となりうるエンテロウイルス(EV)71型などが含まれる。エンテロウイルス属はさらに分子系統解析によりEnterovirus A~JおよびRhinovirus A〜C (species)に分類され、EV-D68はEnterovirus Dに属する...

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急性脳炎および急性弛緩性麻痺患者からのエンテロウイルスD68型の検出―広島市

(速報掲載日 2018/11/9) (IASR Vol. 39 p222-223: 2018年12月号)

エンテロウイルスD68型(以下、EV-D68)は主に喘息や気管支炎といった呼吸器疾患の起因病原体であるが、一方で、急性弛緩性麻痺等の神経症状を呈する患者からの検出も報告されている1-3)。また、乳飲みマウスを用いたEV-D68の接種試験により、前肢および後肢に弛緩性麻痺が発現することが報告されており4)、中枢神経系疾患との関連性も示唆される。

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エンテロウイルスD68が検出された小児の3例―東京都

(速報掲載日 2018/11/2) (IASR Vol. 39 p221-222: 2018年12月号)

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、主に咳嗽・喘鳴等の呼吸器症状を引き起こすウイルスである。2014年に米国でアウトブレイクの発生が報告され、その後カナダ、欧州、アジアなどでもアウトブレイクが確認された1)。日本でも2015年秋期に東京都の4例2)をはじめとして全国的な流行を認めた。急性弛緩性麻痺との関連も指摘されており、2014年8月~2015年3月に米国で107例が報告され、うち半数近くでEV-D68が検出されている3)。日本でも2015年8月~12月に59例の急性弛緩性麻痺の症例が報告されており、うち9例はEV-D68陽性であった4)

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短期間の地域流行が示唆されたエンテロウイルスD68型検出の小児4症例―仙台市

(掲載日 2015/12/7)   (IASR Vol. 37 p. 14-15: 2016年1月号)

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、米国において1962年に下気道感染症の小児から分離されたウイルスであり、近年まで比較的稀な呼吸器感染症の原因ウイルスと考えられてきた。わが国での報告は少なかったが、最近報告件数が100例/年を超えることもあった。加えて、弛緩性麻痺患者からEV-D68が検出され、その関連が注目されている1)。近年EV-D68に対する注目度が上がるにつれ報告件数は増加し、2015年9月には全国各施設から症例報告が相次いでいる2,3)。1小児科クリニックにおいて、短期間に4名の外来患者からEV-D68が検出されたので、背景等をも含めて概要を報告する。

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喘息様症状での入院者数とエンテロウイルスD68型流行との関連―さいたま市

(掲載日 2015/12/7)   (IASR Vol. 37 p. 13-14: 2016年1月号)

2015年秋は当院1)を含む全国各地で重篤な喘息様症状での入院が多発2-5)し、その一部の呼吸器検体からエンテロウイルスD68型(EV-D68)が検出された。喘息様症状の多発とEV-D68との因果関係が示唆され、喘息様症状と感染症情報とを連動させたサーベイランスの必要性が指摘された5)。そこで今回は当院に過去に入院した喘息様症状患者の原因ウイルスを分析した。

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エンテロウイルスD68型が検出された麻痺症状を呈する小児症例を含む2症例―青森県

(掲載日 2015/12/1)   (IASR Vol. 37 p. 12-13: 2016年1月号)

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、1962年に発見された気管支炎や肺炎等呼吸器症状を呈するウイルスである1)。日本では、2005~2009年までは毎年数例報告されていたが、2010年と2013年は100例を超える報告があった。2014年に広島県2)、2015年9月に東京都3)、2015年10月にさいたま市4)からEV-D68が検出された症例の報告があり、そのうち広島県とさいたま市では急性弛緩性脊髄炎症例から確認された。海外では2014年に米国ミズーリ州とイリノイ州でEV-D68による重症呼吸器疾患の流行が発生した5)。2015年9月に青森県で麻痺症状を呈した小児患者1名からEV-D68を検出した。また、8月中旬に呼吸器症状を呈した小児患者1名からEV-D68が分離・検出されたので併せて概要を報告する。

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