国立感染症研究所

ブタの日本脳炎抗体保有状況-2016年度速報第2報

ブタの日本脳炎抗体保有状況 -2016年速報第2報-


(2016年7月28日現在)
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 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染したヒトのうち数百人に一人が発症するとされている重篤な脳炎である 1)。ヒトへの感染は、蚊(日本では主にコガタアカイエカ)が日本脳炎ウイルスに感染したブタを吸血し、その後ヒトを刺すことにより起こる。

 1960年代までは毎年夏から秋にかけて多数の日本脳炎患者が発生しており 2), 3)、ブタの感染状況から日本脳炎ウイルスが蔓延している地域に多くの患者発生がみられた。Konnoらは当時調査したブタの半数以上が日本脳炎ウイルスに感染していると、約2週間後からその地域に日本脳炎患者が発生してくると報告している 4)。現在では、日本脳炎ワクチン接種の普及や生活環境の変化等により、ブタの感染状況と患者発生は必ずしも一致しておらず、近年の日本脳炎患者報告数は毎年数名程度である。しかし、ブタの抗体保有状況から日本脳炎ウイルスが蔓延あるいは活動していると推測される地域では、ヒトへの感染の危険性が高くなっていると考えられる。

 感染症流行予測調査事業では、全国各地のブタ血清中の日本脳炎ウイルスに対する抗体を赤血球凝集抑制法(HI法)により測定し、日本脳炎ウイルスの蔓延状況および活動状況を調査している。前年の秋以降に生まれたブタが日本脳炎ウイルスに対する抗体を保有し、さらに2-メルカプトエタノール(2-ME)感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは最近日本脳炎ウイルスに感染したと考えられる。下表は本年度の調査期間中におけるブタの抗体保有状況について都道府県別に示しており、日本脳炎ウイルスの最近の感染が認められた地域を青色、それに加えて調査したブタの50%以上に抗体保有が認められた地域を黄色、80%以上に抗体保有が認められた地域を赤色で示している。

 本速報は日本脳炎ウイルスの感染に対する注意を喚起するものである。また、それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し、日本脳炎ウイルスが蔓延あるいは活動していると推測される地域においては、日本脳炎の予防接種を受けていない者、とくに乳幼児や高齢者は蚊に刺されないようにするなどの注意が必要である。

 なお、日本脳炎定期予防接種は、第1期(初回2回、追加1回)については生後6か月から90か月に至るまでの間にある者、第2期(1回)については9歳以上13歳未満の者が接種の対象であるが、平成7年4月2日から平成19年4月1日までに生まれた者で積極的勧奨の差し控えなどにより接種機会を逃した者は、20歳になるまでの間、定期接種として日本脳炎ワクチンの接種が可能である。

抗体保有状況
(地図情報)



抗体保有状況
(月別推移)
JE 2016 2
1. Southam, C. M., Serological studies of encephalitis in Japan. II. Inapparent infection by Japanese B encephalitis virus. Journal of Infectious diseases. 1956. 99: 163-169.
2. 松永泰子,矢部貞雄,谷口清州,中山幹男,倉根一郎. 日本における近年の日本脳炎患者発生状況-厚生省伝染病流行予測調査および日本脳炎確認患者個人票(1982~1996)に基づく解析-. 感染症学雑誌. 1999. 73: 97-103.
3. Arai, S., Matsunaga, Y., Takasaki, T., Tanaka-Taya, K., Taniguchi, K., Okabe, N., Kurane, I., Vaccine Preventable Diseases Surveillance Program of Japan. Japanese encephalitis: surveillance and elimination effort in Japan from 1982 to 2004. Japanese Journal of Infectious Diseases. 2008. 61: 333-338.
4. Konno, J., Endo, K., Agatsuma, H., Ishida, N., Cyclic outbreaks of Japanese encephalitis among pigs and humans. American Journal of epidemiology. 1966. 84: 292-300.

国立感染症研究所 感染症疫学センター/ウイルス第一部

最終更新日 2016年7月29日(金曜)18:55

参照数: 72

小児科定点疾患としてのA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の動向(2011年~2016年第21週)

 

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小児科定点疾患としてのA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の動向(2011年~2016年第21週)

(掲載日 2016/07/26)

(改訂日 2016/07/29)

はじめに
 A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus)は、ヒトでの化膿性疾患の原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす。A群溶血性レンサ球菌感染症には急性咽頭炎、扁桃炎、蜂窩織炎等の急性化膿性疾患
や敗血症があり、特殊な病型として劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome: STSS)等がある。さらに菌の直接の作用でなく免疫学的機序を介したリウマチ熱等の合併症を起こすこともあるため、合併症の予防には適切な抗菌薬投与による予防が重要である。

インフルエンザウイルス分離・検出状況 2015年第36週(8/31-9/6)~2016年25週(6/20-6/26)

国立感染症研究所・感染症情報センターには地方衛生研究所(地研)から「病原体個票」が報告されている。これには感染症発生動向調査の定点およびその他の医療機関、保健所等で採取された検体から検出された病原体の情報が含まれる(参考図)。
図1.週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2015年第20週~2016年第25週
(週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2014年第20週~2015年第35週)
図2.都道府県別インフルエンザウイルス分離・報告状況、2015年第36週~2016年第25週
図3.インフルエンザウイルス分離・検出例の年齢群、2015年第36週~2016年第25週:CSV
図4.2009/10~2015/16シーズン比較:CSV

 *2015/16シーズンは2015年第36週/8月31日~2016年第35週/8月(検体採取週)。

図の元データは、以下の速報グラフ(病原体個票による報告)。

データは、土日祝日を除く2日前に地研から報告された情報。過去の週に遡っての追加報告もある。現在報告数は、地研より報告された日を表す。

<参考図> 週別インフルエンザ患者報告数とインフルエンザウイルス分離・検出報告数の推移、2008年第36週~2011年第41週
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2014年第36週(9/1-7)~2015年第35週(8/24-30)
(2015年9月24日現在報告数)
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2013年第36週(9/2-8)~2014年第35週(8/25-31)
(2015年1月16日現在報告数)
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2012年第36週(9/3-9)~2013年第20週(5/13-19)
(2013年5月16日現在報告数)
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2011年第36週(9/5-11)~2012年第25週(6/18-24)
(2012年7月19日現在報告数)
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2010年第36週(9/6-12)~2011年第19週(5/9-15)
(2011年9月6日現在報告数)
インフルエンザウイルス分離・検出状況 2009年第19週(5/4-10)~2010年第19週(5/10-16)
(2010年5月13日現在報告数)
国立感染症研究所感染症疫学センター 病原微生物検出情報事務局

最終更新日 2016年7月27日(水曜)18:32

参照数: 62523

IASR 37(7)、2016【特集】蚊媒介ウイルス感染症:ジカウイルス感染症・チクングニア熱・デング熱、2011年~2016年6月

 

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蚊媒介ウイルス感染症:ジカウイルス感染症・チクングニア熱・デング熱、2011年~2016年6月

(IASR Vol. 37 p. 119-121: 2016年7月号)

蚊媒介ウイルス感染症は感染症法に基づく感染症発生動向調査の4類感染症に指定されている(表1)。本稿で扱うジカウイルス感染症・チクングニア熱・デング熱は急性熱性感染症で, 主な症状は発熱, 発疹, 関節痛等であるが, 症状のみでの鑑別は難しく, また無症候感染例も多い(届出基準:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html)。これら3疾患の大部分は国外感染例(輸入症例)であるが, 2014年に約70年ぶりにデング熱の国内流行が発生した(IASR 36: 33-35, 2015)。

<通知>平成28年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について

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<通知>平成28年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について

(IASR Vol. 37 p. 134: 2016年7月号)

健発0607第18号
               平成28年6月7日
国立感染症研究所長殿
              厚生労働省健康局長
  

 生物学的製剤基準(平成16年3月30日厚生労働省告示第155号)の規定に係る平成28年度のインフルエンザHAワクチン製造株を下記のとおり決定したので通知する。

           記

 

A型株
 A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
 A/香港/4801/2014(X-263)(H3N2)
 

 

B型株
 B/プーケット/3073/2013(山形系統)
 B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)
 

 

 

 

 

最終更新日 2016年7月26日(火曜)16:44

参照数: 650

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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