2018poster

風疹に関する疫学情報(2024年)





  掲載日
pdficons風疹に関する疫学情報:2024年1月31日現在 2024年2月6日
   
   
過去の風疹に関する疫学情報
 
  • 2023年(第5週~第44週)(PDF)
  • 2022年(第1週~第44週)(PDF)
     
  • 2021年(第1週~第52週)(PDF)
     
  • 2020年(第1週~第52週)(PDF)
     
   
  • 2019年(第1週~第52週)(PDF)
   
  • 2018年(第32週~第52週)(PDF)
   

 

国立感染症研究所 実地疫学研究センター
感染症疫学センター
2023年10月19日現在
(掲載日:2024年2月2日)

急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)(以下、「急性脳炎」という)は、2003年11月から、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく感染症発生動向調査において、5類感染症全数把握疾患に指定されている。

 

IASR-logo

マイコプラズマ肺炎 2023年現在

(IASR Vol. 45 p1-2: 2024年1月号)
 

マイコプラズマ肺炎は一般にみられる肺炎で, 流行時には市中肺炎全体の20-30%を占めることもある。病原体の肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae: M. pneumoniae)は, 細菌としてはゲノムサイズが約800kbと小さく, 増殖にコレステロールなど多くの栄養素を要求するが, 人工の培地で純培養が可能である(本号3ページ)。ペプチドグリカン細胞壁を欠くため, β-ラクタム系の抗菌薬は効果がない。感染経路は主に飛沫感染と接触感染で, 家族内や学校など濃厚接触が多い場所で, しばしば集団発生が起こる。患者は小児, 青年期年齢層に多く, 潜伏期間は感染後2~3週間程度である。症状は発熱, 全身倦怠感, 頭痛, 咳などで, 解熱後も咳が長く続くことがある。M. pneumoniaeによる呼吸器感染症は肺炎に至らない気管支炎症例も多く, 肺炎の場合も比較的症状が軽いため, 英語では“walking pneumonia”という呼び名もある。これは肺炎を発症していても患者が起きて歩けるからである。一方で, 重症化して入院治療が必要な症例もある。また, M. pneumoniaeは呼吸器以外にも造血器系, 心血管系, 消化器系, 泌尿器系, 中枢神経系, 皮膚・粘膜などに炎症をはじめ, 様々な病変や合併症を起こすことがある。現時点で有効なワクチンはない。

 

IASR-logo

高齢者肺炎球菌感染症に対する定期接種率と累積接種率の推計値について

(IASR Vol. 45 p12-14: 2024年1月号)
 

2014年10月に高齢者の肺炎球菌感染症は個人予防目的に比重を置くB類疾病に位置付けられ, 肺炎球菌ワクチン(23価莢膜ポリサッカライドワクチン: PPSV23)が定期接種に導入された。65歳の者および60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患を有する者を対象として, 1回接種することとなった。

【速報一覧へ戻る】
インフルエンザ抗体保有状況 -2023年度速報第2報- (2024年1月23日現在)
 

はじめに
 感染症流行予測調査事業における「インフルエンザ感受性調査」は、毎年、当該シーズンのワクチン接種開始前、流行前の抗体保有状況(免疫状況)を把握し、抗体保有率が低い年齢層に対する注意喚起等を目的として実施している。
  わが国におけるインフルエンザワクチンは、2015/16シーズンからA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型(ビクトリア系統と山形系統)の4つのインフルエンザウイルスをワクチン株とした4価ワクチンが用いられている。本稿では今シーズン(2023/24シーズン)のワクチン株に用いられた4つのインフルエンザウイルスに関する抗体保有状況のまとめと検討を行った。
 

1. 調査対象および方法
 2023年度の調査は、16都道府県から各198名、合計3,168名を対象として実施されており、2024年1月23日までに入手できた15道県の速報データについて報告する。インフルエンザウイルスに対する抗体価の測定は、健常者から採取された血液(血清)を用いて、調査を担当した都道府県衛生研究所において赤血球凝集抑制試験(HI法)により行われた。HI法に用いたインフルエンザウイルス(調査株)は以下の4つであり、各ウイルスの卵増殖株を由来としたHA抗原を測定抗原とした。また、採血時期は原則として2023年7~9月(インフルエンザの流行シーズン前かつ当該シーズンのワクチン接種前)とした。

a)A/Victoria(ビクトリア) /4897/2022 [A(H1N1)亜型]
b)A/Darwin (ダーウィン) /9/2021 [A(H3N2)亜型]
c)B/Phuket(プーケット)/3073/2013 [B型(山形系統)]
d)B/Austria(オーストリア)/1359417/2021 [B型(ビクトリア系統)]

 なお、本速報では抗体保有率として、感染リスクを50%に抑える目安と考えられているHI抗体価1:40以上について示している。
 

2. 調査結果
 2024年1月23日現在、北海道、茨城県、栃木県、群馬県、神奈川県、新潟県、福井県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、愛媛県、高知県、沖縄県の15道県から合計3,592名の結果が報告された。5歳ごとの年齢群別対象者数は、0-4歳群:318名、5-9歳群:240名、10-14歳群:245名、15-19歳群:303名、20-24歳群:270名、25-29歳群:342名、30-34歳群:369名、35-39歳群:274名、40-44歳群:206名、45-49歳群:216名、50-54歳群:237名、55-59歳群:223名、60-64歳群:187名、65-69歳群:94名、70歳以上群:68名であった。
 

【年齢群別抗体保有状況】
A/Victoria(ビクトリア) /4897/2022 [A(H1N1)pdm09亜型]:
図1上段
 今シーズンのA(H1N1)亜型のワクチン株は2022/23シーズンのA/ビクトリア/1/2020から変更された。本調査株に対する1:40 以上のHI抗体保有率は、全年齢群で2022/23シーズン前の結果と比べ非常に低く、全ての年齢群で15%以下となり、特に30歳以上の各年齢群で、65-69歳群を除き10%を下回っていた。

A/Darwin (ダーウィン) /9/2021 [A(H3N2)亜型]:図1下段
  今シーズンのA(H3N2)亜型のワクチン株は昨シーズンから変更されておらず、2年連続同じ株となっている。1:40以上のHI抗体保有率は5-9歳群から65-69歳群では20%~35%あった。0-4歳群の抗体保有率は10%と2022/23シーズン前の結果とほぼ変わらず低かった。

B/Phuket(プーケット)/3073/2013 [B型(山形系統)]:図2上段
  B型(山形系統)のワクチン株は2015/16シーズンから変更されていない。1:40以上のHI抗体保有率は30-34歳群の72%をピークになだらかな一峰性を示し、10-14歳群以降の年齢群で30%以上であったが、0-4歳群と5-9歳群では30%を下回っていた。

B/Austria(オーストリア) /1359417/2021[B型(ビクトリア系統)]:図2下段
 B型(ビクトリア系統)のワクチン株は2022/23シーズンから変更されていない。1:40以上のHI抗体保有率は、40-44歳群以降の年齢群では20%から45%となったが、0-4歳群から35-39歳群の年齢群では20%を下回り10%未満となった年齢群も見られた。
 


図1


図2

コメント
 今シーズンはA(H1N1)pdm09亜型のワクチン株が変更となり、A(H3N2)亜型、B型山形系統、B型ビクトリア系統では変更がなかった。本調査では、これら4つのワクチン株抗原に対するHI抗体保有状況を調査している。抗体保有率の低かった2022/23シーズン前よりA(H1N1)pdm09亜型のワクチン株に対する抗体保有率が低く、際立っていた。A(H3N2)亜型とB(ビクトリア系統と山形系統)は2022/23シーズン前と同様の傾向が見られた。
   2023/24シーズン(2023年36週以降)におけるインフルエンザウイルス分離・検出報告は、今シーズンに入る前からインフルエンザの分離・検出がされており、今シーズンに入った36週以降も報告が続いている。分離・検出の報告はA(H3)が多く、次いでA(H1)pdm09が多く報告されている。(週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2019/20~2023/24シーズン(2024年1月23日アクセス時点):https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data2j.pdf )
 また、感染症発生動向調査(https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html)において、2024年第1週の定点当たりのインフルエンザ報告数は12.66(患者報告数61,918)、2023年第52週の定点当たりのインフルエンザ報告数は21.65(患者報告数104,612)となり、2023年49週の定点当たりの報告数33.73(患者報告数166,776)以降は減少に転じている。今後の推移については不確定であるが、例年の傾向として今後も感染の流行が継続する可能性示唆される。抗体保有率の低い年齢層においては注意が必要である。特に0-4歳群での抗体保有率の低値が懸念される。
  今回の結果は2023年度速報第2報で2024年1月23日時点の暫定値であることに注意が必要である。


国立感染症研究所 感染症疫学センター/インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan