(IASR Vol. 37 p.242-243: 2016年12月号)
伝染病統計(1998年)をみると,アメーバ赤痢は,細菌性赤痢とともに赤痢として大括りにされている。つまり,腸管感染症として扱われていた。図Aは,1949~2009年までのアメーバ赤痢の患者を14歳以下か15歳以上,男性か女性かに分け実数をプロットしたものである。戦後衛生状況の悪い時期から東京オリンピックの1965年にかけ,衛生状況の改善とともにアメーバ赤痢は激減し,その状況が1980年くらいまで維持され,そこから急に,男性の,しかも,15歳以上の疾患として増加した。腸管感染であれば,このような性や年齢による偏在は現れないはずである。