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モンキーポックスウイルス(別名エムポックスウイルス: MPXV)について

(IASR Vol. 44 p85-86: 2023年6月号)
 
モンキーポックスウイルス

モンキーポックスウイルス(別名エムポックスウイルス: MPXV)は, エムポックスの原因となるオルソポックスウイルス属(Genus Orthopoxvirus)に属するウイルスである。オルソポックスウイルス属には天然痘ウイルス, 牛痘ウイルス, ワクシニアウイルス等が属しており, これらのウイルスの多くが血清学的に交叉反応を示す。ウイルス粒子は, 長径が約300nm程度のレンガ形または楕円形の特徴的な形状を呈し, 粒子内には直鎖状二本鎖DNAをウイルスゲノムとして保持している。MPXVは, 遺伝子配列により大きくcladeⅠ, cladeⅡに分類され, ウイルスの遺伝子型とその流行地域には関連がある。CladeⅠはかつてコンゴ盆地型, cladeⅡは西アフリカ型と呼称され, それぞれの遺伝子型のウイルスによるエムポックスの流行が, 中央アフリカ, または西アフリカの地域で報告されている1)。CladeⅡは, さらにcladeⅡa(従来の西アフリカ型)と2017年頃よりナイジェリアおよび欧州におけるエムポックス輸入例の原因として報告が増加したcladeⅡbに分かれ, 現在世界的に流行しているウイルス株はcladeⅡbに属している。

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