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市場関連のレプトスピラ症について―川崎市

(IASR Vol. 37 p. 107-109: 2016年6月号)

レプトスピラ症は, ネズミやイヌ等の保菌動物の尿中に排出された病原性レプトスピラで汚染された水や土壌から, 経皮的, 経粘膜的に感染することで発症する動物由来感染症である。海外では, 大雨とそれに続く洪水後の大規模なレプトスピラ症の発生がよく知られており1), 流行地への渡航歴がある発熱, 黄疸等の患者について, 鑑別すべき疾患の一つに挙げられる2)。また, 国内の台風後でも患者発生が報告されているため, 渡航歴がなくとも診断に際しては病歴の聴取が非常に重要といえる3,4)。わが国では沖縄県での河川のレジャーなどを契機とした感染の報告5,6)が多いが, 都内で報告された重症例もあり7), 都心部でも感染しうる疾患である8)。今回, 川崎市において, 市外の市場内で感染したと推定される2例の届出があった。

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