Mechanism of Poliovirus Resistance to Host Phosphatidylinositol-4 Kinase III beta Inhibitor

Arita M.

ACS Infectious Diseases, 2: 140-148, 2016

ホスファチジルイノシトール-4-キナーゼβ(PI4KB)は、抗ウイルス薬および抗マラリア薬候補化合物の主要な標的であることが近年明らかにされてきた。PI4KB阻害剤に対するマラリアの耐性は、マラリア原虫自身のPI4KB遺伝子のコピー増幅もしくは点変異で生じることが示されているが、宿主のPI4KB活性に依存するウイルスの耐性獲得メカニズムは不明であった。

The Role of VP1 Amino Acid Residue 145 of Enterovirus 71 in Viral Fitness and Pathogenesis in a Cynomolgus Monkey Model.

Kataoka C, Suzuki T, Kotani O, Iwata-Yoshikawa N, Nagata N, Ami Y, Wakita T, Nishimura Y, Shimizu H.

PLOS Pathogens, 2015 Jul; 11(7): e1005033

エンテロウイルス71(EV71)カプシドVP1の145番目のアミノ酸(VP1-145)はPSGL-1受容体結合性を規定する。本研究では、EV71感染・病原性発現におけるPSGL-1の役割を明らかにすることを目的とし、PSGL-1結合性の異なるEV71株を用いたカニクイザル感染実験を行なった。


MARCH8 inhibits HIV-1 infection by reducing virion incorporation of envelope glycoproteins.

Tada T, Zhang Y, Koyama T, Tobiume M, Tsunetsugu-Yokota Y, Yamaoka S, Fujita H, Tokunaga K.

Nature Medicine. 2015 Nov 2. doi: 10.1038/nm.3956.

Membrane-associated RING-CH8(MARCH8)は、RINGフィンガーE3ユビキチンリガーゼである11種類のMARCHファミリータンパク質の1つである。MARCH8は種々の宿主膜貫通タンパク質の発現を低下させるが,その生理的役割は不明である。今回我々はMARCH8を新規抗ウイルス因子として同定した。

The suramin derivative NF449 interacts with the 5-fold vertex of the enterovirus A71 capsid to prevent virus attachment to PSGL-1 and heparan sulfate.

Nishimura Y, McLaughlin NP, Pan J, Goldstein S, Hafenstein S, Shimizu H, Winkler JD, Bergelson JM

PLoS Pathog., 11, e1005184, 2015

スラミンの誘導体であるNF449はEV71感染を阻害することが知られている。本研究では、NF449がEV71と細胞の結合を阻害することを明らかにした。

Phosphatidylinositol-4 kinase III beta is the target of oxoglaucine and pachypodol (Ro 09-0179) for their anti-poliovirus activity, and is located at upstream of the target step of brefeldin Al.

Arita M, Philipov S, Galabov AS

Microbiology and Immunology, 59: 338-347, 2015

ホスファチジルイノシトール4-キナーゼ(PI4KB)/オキシステロール結合タンパク(OSBP)経路は、抗エンテロウイルス化合物の主要な標的である。今回、標的が不明であった抗エンテロウイルス化合物oxoglaucineおよびpachypodol (Ro-09-0179としても知られる)がPI4KB阻害剤であること、brefeldin Aで誘導されるゴルジ体の分解に対して、PI4KB/OSBP阻害剤が拮抗作用を示すことを見出した。Brefeldin AとPI4KB/OSBP阻害剤は、各々ウイルスRNA合成もしくはウイルスRNA複製複合体の形成を阻害することが示唆された。これまでの結果から、抗エンテロウイルス化合物に関する一つの仮説(エンビロキシム仮説)を提唱した。

 

 

Monoclonal Antibodies against Extracellular Domains of Claudin-1 Block Hepatitis C Virus Infection in A Mouse Model.

Masayoshi Fukasawa, Shotaro Nagase, Yoshitaka Shirasago, Manami Iida, Mayo Yamashita, Kohki Endo, Kiyohito Yagi, Tetsuro Suzuki, Takaji Wakita, Kentaro Hanada, Hiroki Kuniyasu, Masuo Kondoh

Journal of Virology, 89, 4866-4879, 2015

クローディン-1(Claudin-1)は、細胞間接着に働くタイトジャンクション(TJ)を構成する膜タンパク質であり、C型肝炎ウイルス(HCV)の侵入過程にも関与しています。我々は、ヒト肝由来Huh7.5.1細胞から分離したClaudin-1欠損変異細胞株を用いた解析により、培地からのHCV感染だけでなく、細胞-細胞間HCV感染においてもClaudin-1分子が必須であることを示しました。そして、Claudin-1が有望な抗HCV創薬標的の一つであると考え、Claudin-1の細胞外ドメインを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を試みました。

 

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