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鳥・ブタインフルエンザウイルスのヒト感染事例の状況について

(IASR Vol. 44 p180-182: 2023年11月号)
 
鳥インフルエンザウイルス

A/H5亜型ウイルス

2022年9月以降, 家禽または野鳥・愛玩鳥等でのA/H5亜型ウイルス(N3を除くN1-N6 NA亜型, NA亜型不明も含む)による高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が欧州, アフリカ, アジア, 北米, 中南米から報告されている。NA亜型別ではN1が欧州36カ国/地域, アフリカ7カ国, アジア12カ国/地域, 北米2カ国, 中南米13カ国で, N2が日本, 台湾, 南アフリカで, N4が米国で, N5がノルウェー, フィンランド, 台湾で, N6がフィリピンで, それぞれ検出されている(2023年8月17日時点)1)。このうちN1とN6亜型でヒト感染が報告されている2)。A(H5N1)ウイルスについては2003年以降, アジア, アフリカを中心に世界23カ国で死亡460例を含む880例のヒト感染が確認されているが, 2022年9月以降では, 中国で2022年9月に1例(死亡)と2023年1月に1例, ベトナムで2022年10月に1例, スペインで2022年9月に1例と2022年10月に1例, エクアドルで2022年12月に1例, チリで2023年3月に1例, 英国で2023年5月に2例と2023年6月に1例と2023年7月に1例, カンボジアで2023年2月に2例(1名死亡), 2023年10月に2例(2名死亡)のヒト感染が確認され, スペイン, エクアドル, チリでは初のヒト感染報告となった(2023年10月16日時点)2-4)。これらヒト感染を起こしたA(H5N1)ウイルスのHAのクレードは, カンボジアの事例では2.3.2.1c, それ以外の事例では2021年以降に鳥類で世界的に大流行している2.3.4.4bに分類されることが確認されている5)。A(H5N6)ウイルスについては2014年以降, 中国で87例, ラオスで1例のヒト感染が確認されており, 2022年9月以降は, 中国広西チワン族自治区と重慶市で2例ずつ, 広東省, 湖南省, 四川省でそれぞれ1例のヒト感染(2.3.4.4b)が確認されている(2023年10月16日時点)4)

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