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海外で新しく見出されてきた貝類のトキソプラズマ汚染の現状と感染源としての可能性

(IASR Vol. 43 p56-57: 2022年3月号)

 
はじめに

 トキソプラズマの感染経路は, 加熱不十分な肉類に含まれる組織シスト, およびネコ科動物から排出されるオーシストである。わが国ではこれまで豚肉や山羊肉による組織シストを介した感染が重要視されてきた。一方, 近年では海産の二枚貝類が新たなリスク要因として注目されている。二枚貝類はトキソプラズマの宿主ではないが, 濾過摂食性であるため水中のオーシストを濃縮する危険性がある。本稿では二枚貝類のトキソプラズマ汚染について, 台湾におけるリスク要因解析, また, 世界各地でのトキソプラズマ検出報告を含め紹介する。

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