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アデノウイルス肝炎について

(IASR Vol. 42 p70: 2021年4月号)

 

 アデノウイルス(Ad)肝炎はAd感染症の中では比較的稀な疾患であるが, 臓器移植や抗がん剤治療を受ける患者, 免疫不全疾患, HIV感染症など免疫能低下が著しい患者で発症し, しばしば重篤化し致命的になる1)。Adは日常診療におけるアルコール, クロルヘキシジンといった消毒に比較的耐性なノンエンベロープウイルスであり2,3), 集団感染が問題になることもあるが, Ad感染症は健常者においては成人, 小児ともに多くの場合, 上気道炎, 結膜炎, 胃腸炎などに留まり, 重篤な肝炎, 肝不全に至ることはほとんどない4)

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