国立感染症研究所

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2013年9月に分離されたA(H1N1)pdm09ウイルスの性状―三重県

(IASR Vol. 34 p. 343-345: 2013年11月号)

 

近年、国内でのA(H1N1)pdm09ウイルスの分離・検出状況は2011年には5,284件であったが2012年は39件に減少した。その後2013年には127件(2013年9月18日現在)のウイルスが検出されており、やや増加している1)。本県においてもA(H1N1)pdm09ウイルスは2013年1月上旬に2011年3月以来となる2株が分離され、さらに同年5月中旬には2株の計4株が分離された2)。その後、2013/14シーズンの初期にインドネシアへの渡航歴のある2名の患者からA(H1N1)pdm09ウイルスが分離された。そこで、これらのA(H1N1)pdm09ウイルスの性状について報告する。

2013年9月5日(2013/14シーズン第36週)にインドネシアから帰国後に発熱等の症状(表1)を呈し三重県A市の医療機関を受診した2名の患者から採取された咽頭ぬぐい液検体を用い、インフルエンザウイルス遺伝子検査(Conventional RT-PCR 法、Real-time RT-PCR法、RT-LAMP法)を実施したところ、2件ともにA(H1N1)pdm09ウイルスが検出された。MDCK細胞によるウイルス分離においても、2件とも初代培養で細胞変性が認められた。これらのウイルス培養上清液に対して0.75%モルモット赤血球を用いた赤血球凝集(HA)試験を行ったところ、両株ともHA価は128を示した。そこで国立感染症研究所より2012年に配布された2012/13シーズンインフルエンザウイルス同定キットにて0.75%モルモット赤血球を用いた赤血球凝集抑制(HI)試験による同定試験を行った。これらの2株はA/California/7/2009(H1N1)pdm09の抗血清に対するHI価は2,560(ホモ価2,560)を示した。なお、A/Victoria/361/2011(H3N2)の抗血清(同2,560)、B/Wisconsin/1/2010(山形系統)の抗血清(同1,280)B/Brisbane/60/2008(Victoria系統)の抗血清(同1,280)に対するHI価は10未満であった。

HA遺伝子系統樹解析
2013年9月に分離された2株のA(H1N1)pdm09ウイルス(A/MIE/22/2013株、A/MIE/23/2013株)はHA遺伝子系統樹解析により、HAタンパク質にD97N、 S185Tのアミノ酸置換を持つクレード6に分類された(図1)。また、2013年1月上旬の2株(A/MIE/1/2013株、A/MIE/2/2013株)は、2010/11シーズンの国内流行株の特徴であるA197Tアミノ酸置換を持つクレード7に属していた。また同年5月中旬の分離株(A/MIE/21/2013株)はクレード6に分類されるが、同クレード内の9月分離株(A/MIE/22/2013株、A/MIE/23/2013株)のHAアミノ酸と比較すると6箇所(アミノ酸番号:19、163、234、256、266、269)が異なっていた。今回の検出事例は帰国後2日で発症していることから、インドネシアからの輸入事例と推測され、今後、インフルエンザウイルス流行期に分離されるA(H1N1)pdm09ウイルスとの抗原性の違いに興味がもたれる。

なお、9月分離株は2株ともオセルタミビル耐性マーカーである、NA遺伝子内のH275Y変異は検出されていない。

感染予防対策のためにも通年における継続的なインフルエンザウイルスの動向監視を行い、A(H1N1)pdm09ウイルスの国内での再流行およびAH3亜型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルスの動向に注視する必要があると思われる。

謝辞:本報告を行うにあたり、貴重なご意見をいただきました国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの藤崎誠一郎先生、小田切孝人先生にお礼申し上げます。 検体採取を担当された医療機関の諸先生方および関係各位に深謝いたします。

 

参考文献
1) http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/iasr/Byogentai/Pdf/data62j.pdf  (国立感染症研究所 感染症疫学センター
年別ウイルス検出状況、由来ヒト:インフルエンザ&その他の呼吸器ウイルス、2009~2013年)
2) http://www.kenkou.pref.mie.jp/topic/influ/bunri/bunrihyou1213.htm 
(三重県感染症情報センター インフルエンザウイルス分離・検出状況)

 

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