新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)は、2019年12月以降中華人民共和国湖北省武漢市で発生した原因不明の肺炎患者から検出された新種のコロナウイルスである。2月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19(coronavirus disease 2019)」と定めた(以下、COVID-19)。今回、発症前2週間に武漢渡航歴のない3人のCOVID-19のヒト―ヒト感染事例について、自治体の協力のもと積極的疫学調査の結果をまとめたので報告する。
2020年1月3日に、中国湖北省武漢市において原因不明の重症肺炎の集積が報告された。これをうけて日本では、1月6日より、疑似症サーベイランス(感染症法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症)の枠組みの中で、武漢市に関連した肺炎の患者を探知することになった。なお、2月1日に、新型コロナウイルス感染症は指定感染症となった。指定感染症となる前に使用していた症例定義については、「中国湖 北省武漢市で報告されている新型コロナ関連肺炎に対する対応と院内感染対策」を参照のこと 〔新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報ページ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html〕。