国立感染症研究所ホームページ

行政検査における精度管理システム構築に関する研究
(外部精度管理調査 微生物部門寄生動物系)

提出問題 No.1 


マラリア原虫鑑別法
@寄生赤血球が膨化しているか?

Yes:三日熱マラリア または 卵形マラリア のいずれか・・・Aへ
No :熱帯熱マラリア または 四日熱マラリアのいずれか・・・Bへ

A三日熱マラリアと卵形マラリアの鑑別

三日熱マラリア原虫の特徴

1つの赤血球に2個以上の原虫が寄生していることがある。(ただし2個を越えることは希れ)
アメーバ様虫体が発達しており、赤血球いっぱいに広がって見える。
生殖母体は大きく、赤血球ほぼ全体を埋める。

卵形マラリア原虫の特徴

赤血球での寄生率は低い傾向がある。
典型的には寄生赤血球の辺縁が鋸歯状になることがある。
アメーバ様虫体があまり発達しない。
生殖母体は比較的小さく、寄生赤血球の周辺部に空間が認められる。

B熱帯熱マラリアと四日熱マラリアの鑑別

熱帯熱マラリア原虫の特徴

赤血球寄生率が高い傾向がある。
しばしば1つの赤血球に2個以上の輪状体が寄生している。
生殖母体が特徴的で、バナナ(三日月)型を呈する。
希に寄生率が低くてバナナ型の生殖母体のみが辛うじて見つかる場合がある。
アメーバ様虫体はあまり発達せず、輪状体が膨化した程度。

四日熱マラリア原虫の特徴

赤血球寄生率が比較的低い。
アメーバ様虫体はあまり極端な不整型とはならず、むしろ極端に細長い卵型となることが多く、典型的には赤血球に帯が掛けられたようになる帯状体が観察されるのが大きな特徴である。

提出問題 No.2


 

配付標本はコーン染色変法で作製された永久染色標本。標本中には、1核から4核を有する嚢子(シスト)が見られた。
嚢子の核構造は、1〜2核のものでは核小体がほぼ中央にあり、核辺縁の染色質がほぼ均等に分布する。3〜4核を持つ嚢子では核小体はしばしば中央から外れた位置にあり、核辺縁の染色質は偏って分布する傾向がある。また、短い棍棒状の類染色質体の存在が確認された。

提出問題 No.3


検体としてオーシストを含むマウス便(10%ホルマリン固定)が配付された。
抗酸染色を施すと直径5μmのオーシストがドーナツ型あるいは馬蹄型に赤く染色された。オーシストの染色性は多様で、濃厚に染色されるものからほとんど脱色されてしまうものまであった。類似の円形のものが赤く染色されることがあるので、鑑別には大きさを確認する必要があった。

コメント

返送された染色標本については以下のポイントを確認した。

「カバ−グラスの有無」:

対物レンズの種類によりカバ−グラスをかけることは必ずしも必要ではないが、標本やレンズの保護の点からかけることが望ましい。

「カバ−グラスの大きさ」:

塗抹との大きさのバランス。塗抹よりも一回り大きいカバ−グラスを使用することが望ましい。

「封入の状態」:

泡が入っていたり封入剤がカバ−グラス上にはみ出していると観察に支障をきたす恐れがある。

「塗抹の厚さ」:

厚すぎても薄くても観察には適さない。適度な厚さで塗抹されていることが必要。

「塗抹の形状」:

観察の容易さの点からは歪つな形状は好ましくない。

「染色と脱色の具合」:

脱色の過不足と染色性。

「後染色の具合」:

後染色は被染色体とのコントラストを付けるために必要であり、適度に染色されていることが望ましい。

良好な状態で作製された標本の1例を下に示した。



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