国立感染症研究所

病原診断

 C型肝炎の診断には血清抗体の検出と核酸・抗原の検出の2種類がある。一般的には、初めにHCV抗体検査が行われる。以前は非構造領域のNS4領域 (C100-3)を抗原とする抗体アッセイ系(第一世代)が用いられていたが、後にC100-3抗原、コア抗原、NS3領域の抗原を組み合わせて検出感度を上げた第二世代、さらにNS5領域の抗原も含めた第三世代の抗体アッセイ系が開発され、利用されている。抗体検出方法としては凝集法(PHAPA 法)、酵素抗体法 (EIA法)、化学発光酵素抗体法(CLEIA法)などが用いられている。これらの抗体検査で陽性となった場合、(1HCVに感染しているキャリア状態、(2)過去に感染し、現在ウイルスは排除された状態、の2つの可能性が考えられる。このようなHCVキャリアと感染既往者とを適切に区別するため、HCV抗体価を測定することと、HCV-RNAの検出検査を組み合わせて判断する方法が一般的に行われている。また、急性C型肝炎においてもHCV 抗体の陽性化には感染後通常13カ月を要する(ウインドウ期)ため、この時期の確定診断にはHCV-RNA定性検査が行われる。急性期にHCV抗体が検出されるのは50%以下であり、発症後3カ月目に90%6カ月目にはほぼ100%陽性となる。HCV-RNA定性検査法としては、reverse transcription-polymerase chain reactionRT-PCR)を利用したアンプリコアHCV-RNA定性法がある。本法は102 コピー/ml程度の感度を有する。また、ウイルスの増殖状態や治療の効果判定、経過観察などのためにHCV-RNAの定量を行う。方法としては、RNAの内部標準を使用したリアルタイムRT-PCR法、アンプリコアモニター法や分枝鎖標識DNAプローブを用いて定量する分枝鎖DNAプローブ(bDNA)法などが開発実用化されている。感度はリアルタイムRT-PCR法、アンプリコアモニター法、分枝鎖標識DNAプローブ法の順に低くなる。また、HCVコア抗原を検査する方法もあり、感度は分枝鎖標識DNAプローブ法と同等である。これはHCV粒子の構成蛋白を直接測定する方法である。

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