国立感染症研究所

宮城県内で流行しているノロウイルス(NoV)の遺伝子型について

 

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宮城県内で流行しているノロウイルス(NoV)の遺伝子型について

(掲載日 2016/12/02) (IASR Vol. 38 p.17-18: 2017年1月号)

宮城県における感染性胃腸炎の定点医療機関当たりの患者報告数は、2016年第41週を境に急増し、第46週現在30.66人(昨年同期と比較して7倍)となった(図1)。ノロウイルス(NoV)による感染性胃腸炎事例数を過去同時期と比較すると、2014/15シーズンが0事例、2015/16シーズンが5事例の報告に対し、今シーズン(2016/17)は2016年11月21日現在28事例と多く、県内ではNoVによる感染性胃腸炎が流行している。

施設別発生状況は、保育所および幼稚園での発生が24事例、小学校が3事例および介護老人保健施設が1事例で、低年齢層での感染が目立っている。そこで、流行しているNoVの遺伝子型の把握を目的に、NoV遺伝子のN/S領域の一部を増幅領域とするCOG2F/G2SKRプライマーを用いて、各事例で検出されたNoV遺伝子の塩基配列を決定し系統解析を行った。塩基配列ならびに系統解析はMEGA6を用い、遺伝子型別はNorovirus typing tool(http://www.rivm.nl/mpf/norovirus/typingtool)を使用した。なお、本県におけるGII.2によるNoVの流行は、2010/11シーズンにも確認されたことより、同シーズンに検出した株も併せて解析した。

ウイルス遺伝子のVP1領域の一部の227ntについて塩基配列が決定でき、近隣結合法(NJ法)で解析した結果(図2)、幼稚園および保育所で発生した16事例と小学校で発生した3事例の合計19事例からGII.2遺伝子が検出された。それ以外には、保育所で発生した1事例からGII.6、介護老人保健施設で発生した事例からはGII.17が検出された。

系統樹上、今シーズンと2010/11シーズンに検出されたGII.2株は大きく2つのクラスターに分類され、さらに、今シーズンに検出された一部の株と2010/11シーズンに検出された株は2つのサブクラスターに分類された(図2)。よって、現在流行しているGII.2は、2010/11シーズンに検出された同遺伝子型の流行株と比較した場合、系統が異なることが確認された。しかし、決定できた塩基配列をもとにORF finder(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/orffinder/)を用いてアミノ酸に置換後(75aa)アライメントした結果においては、2010/11シーズンに検出されたGII.2株と今シーズンに検出されたGII.2株ではアミノ酸の変異は確認されなかった。本県においては2010/11シーズン以来GII.2による感染性胃腸炎の流行は確認されておらず、感染性胃腸炎集団発生での検出例も2011/12シーズンが1事例、2012/13シーズンが2事例で、それぞれ遺伝子型が決定できた事例の7.1%(1/14)と9.1%(2/22)である。2010/11シーズン以降GII.2を流行株とした感染性胃腸炎の流行が県内では確認されておらず、同遺伝子型の感受性者が増加している可能性もあるので、特に低年齢層を中心とした今後の動向には十分注意が必要である。


宮城県保健環境センター微生物部 
 植木 洋 小泉 光 菅原直子 佐々木美江 渡邉 節

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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