国立感染症研究所

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「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律」の概要

(IASR Vol. 36 p. 49-50: 2015年3月号)

I.主な改正内容
1.感染症法の対象疾病及び疾病分類の見直し等(第6条関係)
  (1)二類感染症に「鳥インフルエンザ(H7N9)」及び「中東呼吸器症候群(MERS)」を追加する。

 (2)三種病原体等である結核菌について、イソニコチン酸ヒドラジド、リファンピシンその他結核の治療に使用される薬剤として政令で定めるものに対し耐性を有するものに限るものとする。

 (3)四種病原体等であるインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスについて、血清亜型が政令で定めるものであるものとする。

2.感染症に関する情報の収集及び公表
(1)医師の届出の対象に、厚生労働省令で定める五類感染症を追加する。(第12条関係)
(2)獣医師等の届出の対象から、実験のために届出の対象である感染症に感染させられている場合を除くこととする。(第13条関係)
(3)感染症に関する情報の収集体制の強化(第14条の2関係)

 ア 都道府県知事は、厚生労働省令で定める五類感染症の患者の検体又は当該感染症の病原体の提出を担当させる病院、診療所、衛生検査所を指定するものとする。

 イ アの指定を受けた病院、診療所、衛生検査所(以下「指定提出機関」という。)の管理者は、医師がアの厚生労働省令で定める五類感染症の患者を診断したとき、又は衛生検査所の職員が当該患者の検体若しくは当該感染症の病原体について検査を実施したときは、当該患者の検体又は当該感染症の病原体の一部を都道府県知事に提出しなければならないものとする。

 ウ 都道府県知事は、イにより提出を受けた検体又は感染症の病原体について検査を実施し、検査の結果等を厚生労働大臣に報告しなければならないものとする。

 エ 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対しイにより提出を受けた検体又は感染症の病原体の一部の提出を求めることができるものとする。

  (4)感染症の発生の状況、動向及び原因の調査(法第15条関係)

 ア 都道府県知事は、必要があると認めるときは、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための必要な調査として当該職員に検体若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせることができるものとする。

 イ 都道府県知事は、アにより提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならないものとする。

 ウ 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対しアにより提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができるものとする。

3.検体の採取等の措置(法第16条の3、第26の3、第26条の4、第44条の7及び第50条関係)
(1)都道府県知事(緊急時は厚生労働大臣)は、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は新感染症(以下「一類感染症等」という。)のまん延を防止するため必要があると認めるときは、一類感染症等の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(以下「一類感染症等の患者等」という。)、その保護者、一類感染症等を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の検体又は感染症の病原体を所持している者に対し、当該者の検体又は感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告又は命令することができるものとし、勧告又は命令を受けた者が当該勧告又は命令に従わないときは、当該職員に検査のため必要な最小限度において、当該検体又は感染症の病原体を採取または収去させることができるものとする。

 (2)都道府県知事又は厚生労働大臣は、それぞれ(1)の勧告若しくは命令又は措置を実施する場合には、当該勧告若しくは命令又は措置を実施する理由等を書面により通知しなければならないものとする。

 (3)都道府県知事は、(1)により提出を受け、又は当該職員に採取させた検体について検査を実施し、当該検査の結果等を厚生労働大臣に報告しなければならないものとする。

 (4)厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、(1)により提出を受け、又は当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができるものとする。

 (5)都道府県知事は、(1)の検体若しくは感染症の病原体の提出、採取の勧告又は命令をし、当該職員に検体の採取又は収去の措置を実施させ、又は(3)により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができるものとする。

4.結核
保健所長は、結核登録票に登録されている者について、結核の予防又は医療を効果的に実施するため必要があると認めるときは、病院、診療所、薬局等に対し、処方された薬剤を確実に服用する指導その他必要な指導の実施を依頼することができるものとする。(法第53条の14関係)

5.罰則その他所要の規定の整備を行う。
II.施行期日等
1.公布日、施行期日
公布日:平成26年11月21日
施行日:平成28年4月1日。ただし、Ⅰの2の(2)は公布の日に、Ⅰの1〔(2)を除く。〕は平成27年1月21日に、Ⅰの1の(2)、Ⅰの2の(1)及びⅠの4は平成27年5月21日に施行する。

 
厚生労働省健康局結核感染症課

 

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