国立感染症研究所

<通知> 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等の一部改正について

(Vol.29 p 53-55:2008年2月号)

健感発第1228002号
平成19年12月28日
都道府県
 各   政令市   衛生主管部(局)長  殿
特別区
厚生労働省健康局結核感染症課長

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第159号)が平成19年12月28日公布 され、平成20年1月1日に施行されること等に伴い「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届 出の基準等について」(平成18年3月8日健感発第0308001号)の一部を下記のとおり改正し、同日から適用する。

別紙第6(略) 五類感染症の7 後天性免疫不全症候群中「(4)届出に必要な要件」を「(4)届出に必要な要件(サーベイランスのためのHIV感染症/AIDS診断基準(厚生労働省エイ ズ動向委員会、2007)抜粋)」に改め、(4)のイの指標疾患のうち、Aの5の「(カリニ)」を削る。

別紙第6(略) 五類感染症中、「24 風しん」、「26 麻しん(成人麻しんを除く)」及び「39 成人麻しん」の項を削除し、「14 バンコマイシン耐性腸球菌感染症」の次に次の2項を加える。

 

<参考>  感染症法に基づく届出疾病    (2008年1月1日一部改正施行)


14-2 風しん
(1)定義
風しんウイルスによる急性熱性発疹性疾患である。

(2)臨床的特徴
飛沫感染により感染し、潜伏期は通常2〜3週間である。 冬から春に流行する。症状は、小紅斑や紅色丘疹、リンパ節腫脹(全身、特に頚部、後頭部、耳介後部)、発熱を三主徴とする。リンパ節腫脹は発疹出現数日前 に出現し、3〜6週間で消退する。発熱は38〜39°Cで、3日程度続き、皮疹も3日程度で消退する。脳炎、血小板減少性紫斑病を合併することがある。

妊婦の風しんウイルス感染が、先天性風しん症候群の原因となることがある。

(3)届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から風しんが疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たすと診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を7日以内に行わなければならない。

イ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から風しんが疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たすと診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を7日以内に行わなければならない。

(4)届出のために必要な要件
ア 検査診断例
届出に必要な臨床症状の1つ以上を満たし、かつ、届出に必要な病原体診断のいずれかを満たすもの。

イ 臨床診断例
届出に必要な臨床症状の3つすべてを満たすもの。

届出に必要な臨床症状

ア 全身性の小紅斑や紅色丘疹
イ 発熱
ウ リンパ節腫脹

届出に必要な病原体診断

 検査方法   検査材料 
分離・同定による病原体の検出 咽頭拭い液、血液、髄液
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出
抗体の検出 (IgM抗体の検出、ペア血清での抗体陽転又は抗体価の有意の
上昇)
血清

14-3 麻しん
(1)定義
麻しんウイルスによる急性熱性発疹性疾患である。

(2)臨床的特徴
潜伏期は通常10〜12日間であり、症状はカタル期(2〜4日)には38°C前後の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、眼脂、羞明などであり、熱が下降 した頃に頬粘膜にコプリック斑が出現する。発疹期(3〜4日)には一度下降した発熱が再び高熱となり(39〜40°C)、特有の発疹(小鮮紅色斑が暗紅色 丘疹、それらが融合し網目状になる)が出現する。発疹は耳後部、頚部、顔、体幹、上肢、下肢の順に広がる。

回復期(7〜9日)には解熱し、発疹は消退し、色素沈着を残す。肺炎、中耳炎、クループ、脳炎を合併する場合がある。麻しんウイルスに感染後、数年から十数年以上経過してSSPE(亜急性硬化性全脳炎)を発症する場合がある。

なお、上記症状を十分満たさず、一部症状のみの麻しん(修飾麻しん)もみられることがある。これはワクチンによる免疫が低下してきた者に見られることが多い。

(3)届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から麻しんが疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たすと診断した場合には、法第12条第 1項の規定による届出を7日以内に行わなければならない。

イ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から麻しんが疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たすと診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を7日以内に行わなければならない。

(4)届出のために必要な要件
ア 麻しん(検査診断例)
届出に必要な臨床症状の3つすべてを満たし、かつ、届出に必要な病原体診断のいずれかを満たすもの。

イ 麻しん(臨床診断例)
届出に必要な臨床症状の3つすべてを満たすもの。

ウ 修飾麻しん(検査診断例)
届出に必要な臨床症状の1つ以上を満たし、かつ、届出に必要な病原体診断のいずれかを満たすもの。

届出に必要な臨床症状

ア 麻しんに特徴的な発疹
イ 発熱
ウ 咳嗽、鼻汁、結膜充血などのカタル症状

届出に必要な病原体診断

 検査方法   検査材料 
分離・同定による病原体の検出 咽頭拭い液、血液、髄液
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出
抗体の検出 (IgM抗体の検出、ペア血清での抗体陽転又は抗体価の有意の
上昇)
血清

別記様式5-7の5-2の5)中、「(カリニ)」を削る。

別記様式5-10の11に次のように加える。
(3)母親の風しん含有ワクチン接種歴

 1回目   有(    歳)・ 無 ・ 不明
  ワクチンの種類(風しん単抗原・MR・MMR・不明)
  接種年月日( S・H      年     月     日・ 不明)
  製造会社/Lot番号(     /      ・ 不明)
 2回目   有(      歳)・ 無 ・ 不明
  ワクチンの種類(風しん単抗原・MR・MMR・不明)
  接種年月日( S・H      年     月     日 ・ 不明)
  製造会社/Lot番号(     /      ・ 不明)

別記様式に次の二様式を加える。
別記様式5-14-2 風しん発生届
別記様式5-14-3 麻しん発生届

別記様式7-1を次のように改める。

別記様式7-5を次のように改める。

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