国立感染症研究所

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デング熱・デング出血熱 2015~2019年

(IASR Vol. 41 p89-90: 2020年6月号)

デング熱は, デングウイルス(dengue virus: DENV)の感染によって生じる感染症である。DENVは, フラビウイルス科, フラビウイルス属に分類されるウイルスであり, 1-4型の4つの血清型からなる。DENVは蚊によって媒介される節足動物媒介性ウイルスの一つである。主な媒介蚊はネッタイシマカ(Aedes aegypti)およびヒトスジシマカ(Aedes albopictus)であり, ヒト→カ→ヒトの感染環により自然界に存在している。現在, ネッタイシマカは日本国内には分布していないが, ヒトスジシマカは北海道を除く広範な地域に分布している(本号3&4ページ)。ヒトはDENVに感染すると, 4~14日程度の潜伏期を経て発熱, 発疹, 疼痛(関節痛, 筋肉痛)などの症状を呈する(デング熱)。多くの場合, 後遺症を残すことなく回復するが, 時に出血症状や意識障害を呈し, 多臓器不全により死亡する場合もある。このような病態は重症デング熱と呼ばれ, デング出血熱, デングショック症候群等が含まれる。デング熱に対する特異的な治療法はない。デング熱に対するワクチンは, 海外の一部の国々では認可・使用されている(本号11ページ)。デング熱の主な流行地は, 世界の熱帯・亜熱帯地域である(本号5ページ)。日本国内で報告されているデング熱患者のほとんどは, 流行地域からの入国者(帰国者を含む)である。2019年には国内で2014年以来, 5年ぶりにデング熱の国内流行が発生した(本号6ページ)。

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