IASR-logo

蚊媒介感染症, 2012年1月~2022年3月

(IASR Vol. 43 p125-128: 2022年6月号)

 

 蚊はハエ目カ科に分類され, 世界に約3,600種類, 日本に112種類が記録されている(2014年現在)。多くの種は吸血性を示す(雌成虫のみ)。これら多様な蚊種のうち, 一部がヒトに関連する病原体の伝播を担っている(表1)。吸血によって蚊の消化管内に取り込まれた血液中に, その蚊に感染可能な病原体が含まれていた場合, 病原体は消化管上皮細胞へ感染・増殖し, 体腔側の組織・器官へ感染が拡大される, あるいは増殖をともなわずに体腔側へ移行する。いずれの場合においても, 病原体は蚊の消化管から体腔を介して2日~3週間ほどで唾液腺に達し, 蚊は病原体を媒介できる状態となる。この状態の蚊が脊椎動物から吸血する際, 病原体は唾液とともに脊椎動物の血管内へ入る。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan