国立感染症研究所

2016年4月5日更新
国立感染症研究所albopictus06

 

概要

  • albopictus062007年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2016年4月5日時点で、ジカウイルス病は、中南米やカリブ海領域で流行が持続し、アジアや南太平洋地域への地理的拡大も見せている。日本でも7例のジカウイルス病の症例が確認されており、いずれも流行地への渡航歴がある輸入症例である。
  • 流行地における疫学研究により、ジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連が明らかにされ、また胎内感染と小頭症との関連が強く示唆されている。
  • 日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に指定されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第2版)が公表され、診療体制の整備が進められている。
  • 妊婦及び妊娠の可能性がある人の流行地への渡航は控えるとともに、流行地への渡航者に対しては、ジカウイルス感染症の情報提供及び防蚊対策の徹底を、より一層周知することが重要である。
  • 国内の蚊の活動期においては、流行地からの帰国者は症状の有無に関わらず、帰国日から2週間程度の防蚊対策が必要である。
  • 性行為感染のリスクを考慮し、流行地から帰国した男性は、ジカウイルス病の発症の有無に関わらず、最低4週間(パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中)は安全な性行動(コンドームの使用等)をとること、もしくは性行為の自粛が推奨される。

 

 

背景

 ジカウイルス感染症は、フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによる蚊媒介感染症である。ジカウイルスは、1947年にウガンダのZika forest(ジカ森林)のアカゲザルから初めて分離された。ジカウイルス感染症は、2月5日に感染症法上の4類感染症に指定され、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症に病型分類されている。

 ジカウイルス病は、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島での流行、2013年には仏領ポリネシアで約1万人の感染が報告され、2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸での流行が発生し、地理的な拡大を見せている。一方、本邦においては、現在までのところ、2013年12月に仏領ポリネシア、ボラボラ島に滞在歴のある男性(27歳)、女性(33歳)の2症例[1]、2014年7月にタイのサムイ島に滞在歴のある男性(41歳)の1症例[2]、2016年2月と3月に中南米の流行地に渡航歴のある4症例の、計7例が確認されている。

 2016年8、9月にはブラジルのリオデジャネイロでオリンピックとパラリンピックが開催され、多くの邦人が渡航することが予測される。また、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症の関連が考えられていることもあり、流行地への渡航等に関するリスクを評価した。

 

疫学的所見

 米国CDC、ECDCによると、2015年以降2016年第13週までに、中央および南アメリカ大陸、カリブ海地域では33の国や地域(アルバ、バルバドス、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ)、アジア・西太平洋地域では12の国や地域(米領サモア、フィジー、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、フィリピン、サモア、ソロモン諸島、タイ、トンガ、バヌアツ、ベトナム)、インド洋地域ではモルジブ、アフリカではカーボベルデから症例が報告されている。

 仏領ポリネシアでのジカウイルス病の流行時、ギラン・バレー症候群の症例数の増加が報告された[3]。2015年7月にはブラジル、12月にはエルサルバドル、2016年以降にはコロンビア、スリナム、ベネズエラ、ホンジュラスでも同様に症例数の増加を認め[4,5,26]、マルティニーク、プエルトリコ、パナマ、ハイチ、仏領ギニア、フランス、ニュージーランドではギラン・バレー症候群を含む神経症状を合併したジカウイルス病の症例が報告されている[18-20,26]。仏領ポリネシアにおけるジカウイルス病とギラン・バレー症候群の症例対照研究では、ギラン・バレー症候群を発症した42例中41例(98%)が血清学的に最近のジカウイルス病が確認され、ジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連性が明らかにされた[27]。また、カリブ海のグアドループからは急性脊髄炎、フランスからは髄膜脳炎を合併したジカウイルス病の症例が報告されており、いずれも髄液からジカウイルス遺伝子が検出された[28,29]

 また、ブラジルでは、今回の流行において、妊娠中のジカウイルス感染による胎児の小頭症との関連が疑われている。2015年11月17日、胎児が小頭症と確認された妊婦の羊水からジカウイルス遺伝子が検出され、11月28日には出産後まもなく死亡した小頭症の新生児の血液および組織からジカウイルス遺伝子が検出された[4]。ブラジル保健省(Ministério da Saúde)はジカウイルス感染と小頭症の流行に関連があると発表し、また同時にジカウイルス病に関連した死亡例が報告されたことを発表した[6,7]。2015年10月から2016年3月26日までの間に6,776人の小頭症が疑われる胎児または新生児が報告されている。しかしながら、ジカウイルスとの関連性があると推測された確定例は944例であり[8]、地理的に北東部に集中している[30]。ハワイとスロベニアにおいて、妊娠中にブラジルに居住歴があり、発熱、発疹等ジカウイルス病に矛盾しない症状の既往がある母親から、小頭症の新生児と胎児が報告された[31,32]。米国本土からも同様の報告が見られる[33]。ブラジルにおけるコホート研究[34]では、発熱、発疹を呈した妊婦88人中、72人(82%)からジカウイルスが検出された。ジカウイルスが検出された妊婦72人のうち42人が胎児超音波検査によって経過観察され、12人(29%)に小頭症を含む胎児異常が認められた。一方、ウイルスが検出されなかった16人では胎児超音波検査による経過観察が行われたが、胎児異常は認めなかった。こうした結果からブラジルにおける今回の流行において、妊婦のジカウイルス感染症と小頭症との関連が強く示唆されている。

 仏領ポリネシアにおいてもジカウイルス病の流行時、胎児・乳児の大脳奇形や脳幹機能障害の増加がみられていたことをECDCが報告した[9]。仏領ポリネシアでは8例の小頭症児を認めており、第1三半期に妊婦がジカウイルスに感染すると小頭症児発生のリスクが高くなる可能性が指摘されている[35]

 

臨床所見

 ジカウイルス病の潜伏期は2~12日(多くは2~7日)とされている[10,11]。発症者は主として軽度の発熱(<38.5℃)、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感などを呈し、血小板減少などが認められることもあるが、一般的に他の蚊媒介感染症であるデング熱、チクングニア熱より軽症といわれている。また、不顕性感染が感染者の約8割を占めるとされている[10,12,13]

 仏領ポリネシア等では、上述のようにジカウイルス病流行時と同時期にギラン・バレー症候群の症例数の増加が報告されている。また、ギラン・バレー症候群のみならず、急性脊髄炎や髄膜脳炎を合併した症例も報告されている[28,29]

 2015年8~10月にブラジルで認めた小頭症症例35例の臨床的特徴[36]によると、25例(71%)は頭囲が性別・出生時週数に応じた頭囲の平均値の3 SD(標準偏差)未満の重症例であった。同時に、5例(14%)で先天性内反足、4例(11%)で先天性関節拘縮、2例(18%)で網膜異常等を認め、検査においては、17例(49%)に神経学的検査異常(筋緊張や腱反射の亢進など)、全例に何らかの神経画像検査異常(頭蓋石灰化や脳室拡大など)を認めた。また、ジカウイルス関連の小頭症児における眼所見の異常についても報告が見られる[24]

 

感染経路

 主たる感染経路は蚊によるジカウイルスの媒介であり、ヤブカ(Aedes)属のAe. aegypti(ネッタイシマカ)、 Ae. hensilli、Ae. polynesiensis、Ae. albopictus(ヒトスジシマカ)が媒介蚊として確認されているが、特に、ネッタイシマカはしばしば流行を引き起こしている。ヤップ島での流行ではAe. hensilliが、仏領ポリネシアでの流行では Ae. polynesiensisとネッタイシマカがそれぞれ媒介蚊と考えられている[14]。またシンガポールおよびガボンの研究報告から、ヒトスジシマカがジカウイルスの媒介蚊としての役割を果たすことができると推定されている[15,16]。日本国内に広く分布するヒトスジシマカがデングウイルスと同様にジカウイルスにも感受性があることは、研究班で確認されている。

 その他の感染経路として、胎内感染の発生が複数認められており、また、輸血[12]、性行為による感染が疑われる事例が報告されている。性行為による感染が疑われる事例においては、発症前の性行為により流行地から帰国した男性から流行地への渡航歴のない女性のパートナーへ感染したとされている[17]。イタリアではタイから帰国した男性から感染した事例が1例[37]、米国ではアフリカ、中南米、カリブ海地域から帰国した男性から感染した事例が6例報告されている[21,43]。ほかに、フランス、ニュージーランド、アルゼンチン、チリからも報告がある[26]。精液中のジカウイルスに関しては、発症2週後の検体でウイルス分離されたとの報告があり、少なくとも2週間は、感染性のウイルスが精液中に高いウイルス量で残存している可能性があることを示唆している[46]。また、発症62日後にPCR法によりウイルス遺伝子が検出されたとの報告があるが[22]、この結果は感染性を直接的に示すものではない。

 また、ウイルス血症の期間について、最長で発症11日後に血液からPCR法でジカウイルス遺伝子が検出された報告が見られる[38]。また、無症候感染者のウイルス血症期間に関しては知見が乏しく、今後の研究報告が待たれる。なお、唾液と尿から発症29日後にジカウイルス遺伝子が検出され、ウイルスの分離も可能であったとの報告がある[39]。母乳から出産8日後にジカウイルス遺伝子が検出されたという報告があるが、ウイルスは分離されなかった[40]。現時点では唾液、尿、母乳を介して感染した事例の報告は見られず、WHOは母乳栄養を推奨している[41]

 

診断方法

 特異的な臨床症状・検査所見に乏しいことから、実験室内診断が重要となる。主要な検査方法は遺伝子検査法によるウイルスRNAの検出(血液、尿)である。ジカウイルス特異的IgM/IgGのELISAによる検出法も報告されているが、デングウイルスIgMとの交差反応が認められる症例もあるため、結果の解釈には注意が必要である。また、中和抗体価を測定すればデングウイルス感染とジカウイルス感染は血清学的に鑑別できる。また、急性期と回復期のペア血清での測定が重要である。

 

WHOおよび諸外国の対応

 2016年4月5日現在、米国CDCは、より詳細な調査結果が得られるまでは現在流行している41の国や地域(アルバ、バルバドス、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ、米領サモア、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、サモア、フィジー、トンガ、カーボベルデ)への妊婦の渡航を控えるように警告している。妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策が推奨された。

 また、ECDCは妊婦および妊娠予定の女性に対してジカウイルス病の流行地(米国CDCが挙げている国や地域に加えて、フィジー、フィリピン、タイ、ベトナム)への渡航を控えることを推奨している[18,42]。また、免疫不全や重度の慢性疾患を有する渡航者は、渡航前に主治医に相談し、防蚊対策のアドバイスを受けるべきであるとしている[18]。 

 WHOは、ジカウイルス感染症を理由とする流行地への渡航や貿易を制限することは推奨していないが、妊婦は流行地へ渡航すべきではないと発表した(2016年3月8日)[23]。同時に流行地への全ての渡航者に防蚊対策を遵守すべきであるとしている。

 性行為感染による感染のリスクは、WHOおよび諸外国は、まれではあるが起こり得るとしている。WHOは、現時点では、ジカウイルス病に感染したすべての人とそのパートナー(特に妊娠中の女性)はより安全な性行動(正しいコンドーム使用を含む)をとることを推奨している。また、流行地からの帰国した男女は、最低4週間(パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中)は安全な性行動をとること、もしくは性行為自粛を推奨している[25]

 米国CDCは、流行地に渡航歴のある男性について、パートナーが妊娠している場合、妊娠期間中は性交渉を控えるかコンドームを使用することを勧めている[43]。パートナーが妊娠していない場合でも、ジカウイルス病を発症した男性は少なくとも6か月、発症しなかった男性については少なくとも8週間は性交渉を控えるかコンドームの使用を推奨している。また、流行地に渡航歴のある挙児希望の女性については、症状の有無に関わらず8週間は妊娠を控えることを推奨している[44]。また、知見が限られていることから、現時点では、性行為感染のリスク評価のために男性の血清や精液の検査を行うことは推奨していない[44]。イギリス公衆衛生庁(PHE)は、妊娠中、あるいは妊娠の可能性のある女性のパートナーがいる男性は、ジカウイルス病の症状がない場合でも流行地から帰国後28日間のコンドームの使用を勧めている[45]

 また、WHOはギラン・バレー症候群を含む神経症状に対して注意喚起を行い、ジカウイルス感染症患者に対する神経症状のモニタリングを推奨し、ギラン・バレー症候群を合併した場合の臨床的な対応方法も発出している。このような事態を鑑み、WHOは、2016年2月1日に緊急委員会を開催し、小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関して「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」を宣言している。3月8日には第2回緊急委員会を開催し、PHEICは継続されることとなった。

 

日本の対応

 日本では、2016年2月15日にジカウイルス感染症が感染症法上の4類感染症に追加され、全数報告によるサーベイランスを開始し、検査体制が整備された。同時に検疫感染症にも指定され、検疫における監視体制が開始された。2016年3月11日には「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」の第2版が発出され、また、日本感染症学会からもジカウイルス感染症専門医療機関のリストが公表され、診療体制の整備も進められている。2016年3月30日に、媒介蚊の対策として、「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」の改訂を行った。

 

リスクアセスメント

 中央および南アメリカ大陸、カリブ海地域では今後もしばらくはジカウイルス病の発生が続くことが予想され、またさらなる地理的な拡大も懸念される。日本では、感染症法上の4類感染症指定後、4例のジカウイルス病が報告された。いずれも中南米から帰国後の渡航者であり、今後も、流行地からの帰国者が国内でジカウイルス病と診断される症例が発生すると考えられる。流行地とされている国々のうち特にアジアや南太平洋の国々については、情報が限られており、輸入例から得られる知見等から総合的に判断することが重要である。

 ジカウイルス病は大半が軽症例であることから輸入孤発例の公衆衛生上のインパクトは概して低いが、ジカウイルスの胎内感染と小頭症との関連性が強く示唆されている。このため、可能な限り妊婦及び妊娠の可能性がある人の流行地への渡航は控えた方が良いと考える。また、ジカウイルス感染症とギラン・バレー症候群との関連性が明らかになっていることから、国内症例における神経合併症の発生の可能性について臨床医が認識していることが望ましい。

 国内のヒトスジシマカがジカウイルスの媒介蚊となり、2014年のデング熱の国内流行と同様に、蚊の活動期には輸入例を発端としたジカウイルス病の国内流行が発生する可能性は否定できない。ただし、2015年4月に告示された「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」に則り、平常時から媒介蚊の対策が進められておりジカウイルスの伝播防止にも効果が期待される。加えて、国内の蚊の活動期においては、ジカウイルス病流行地からの帰国者は症状の有無に関わらず、潜伏期を考慮して少なくとも帰国日から2週間程度は特に注意を払って忌避剤の使用など蚊に刺されないための対策を行うことが推奨される。なお、不顕性感染の患者が感染源となりうるかどうかや、不顕性感染者の血中ウイルス量およびウイルス血症期間等について、今後の知見が待たれる。

 性行為による男性から女性のパートナーへの感染の事例が報告されているが、精液に関して、現時点ではジカウイルスの存在期間や感染性等の知見は限定的である。感染者の8割は不顕性感染であること、最長2週間程度の潜伏期間があること、少なくとも発症から2週間後には精液中に感染性があるウイルスが存在している可能性があることを考慮し、流行地から帰国した男性は、ジカウイルス病の発症の有無に関わらず、最低4週間(パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中)は安全な性行動(コンドームの使用等)をとること、もしくは性行為自粛が推奨される。なお、精液のジカウイルスの遺伝子検査については、現時点で検査方法に関する明確な基準がなく、結果が陰性であっても感染のリスクを否定するものではないことから、現時点では、性行為感染のリスク評価を目的とした検査は推奨されない。ジカウイルス病と診断された症例については、性行為による感染伝播防止について主治医とよく相談することが必要である。

 今後の対応として、まずは、流行地への渡航者にジカウイルス感染症の情報提供及び防蚊対策の徹底をより一層周知することが重要である。具体的な防蚊対策は、蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第2版)に記載があるが、皮膚が露出しないように、長袖シャツ、長ズボンを着用し、裸足でのサンダル履きを避ける、必要医薬品又は医薬部外品として承認された忌避剤を、年齢に応じた用法・用量や使用上の注意を守って適正に使用する等である。

 また、諸外国と連携し、ジカウイルス感染症の臨床症状・検査所見、小頭症やギラン・バレー症候群との関連性に関する新たな知見を収集していく必要がある。また、妊婦がジカウイルス病を疑われた場合は、蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第2版)に基づいて適切に対応を行う。なお、輸血による感染伝播を予防するため、海外からの帰国日から4週間以内の献血自粛を遵守することが重要である。
以上のリスクアセスメントは、現時点で得られている情報に基づいている。事態の展開と得られる新たな知見に基づき、リスクアセスメントを更新していく予定である。

 

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更新履歴

  • 2016年1月20日 初版
  • 2016年1月26日 第二版 
  • 2016年2月5日 第三版
  • 2016年2月16日 第四版
  • 2016年4月5日 第五版(この記事)

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