国立感染症研究所

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海外での感染が疑われた患者からのEV-D68家族内感染事例

(IASR Vol. 39 p9-11: 2018年1月号)

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は, ピコルナウイルス科エンテロウイルス属のエンベロープを持たないRNAウイルスで, わが国では2015年秋頃にEV-D68が検出された患者報告が相次ぎ1), 急性弛緩性麻痺, 重症呼吸器不全, 気管支喘息との関連が疑われた。感染症サーベイランスシステム(NESID)の病原微生物検出情報において地方衛生研究所(地衛研)がEV-D68の検出報告をした患者の多くは呼吸器疾患であるが, 病原体サーベイランスの対象疾患ではないため, 現在のところEV-D68の流行を直接モニタリングできるシステムはない。しかし, 研究的に対象外の疾患をサーベイランスしている地衛研があることや, EV-D68感染による胃腸炎症状, 発疹, 口内炎, 結膜炎等がサーベイランス対象疾患である感染性胃腸炎, 手足口病, 咽頭結膜熱等と診断されることがあるため, それらの患者から検出されたEV-D68の増加を間接的にモニタリングしている状況となっている1)

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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