国立感染症研究所

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麻疹検査の偽陽性、2012年2月―米国・メイン州

(IASR Vol. 34 p. 44-45: 2013年2月号)

 

2012年2月7日、57歳女性の麻疹疑い例(予防接種歴なし)がメイン州当局へ報告された。1月30日に3日間続く発熱と頭痛および2日間続く発疹を訴え近医を受診、発疹は2月6日に軽快した。1月31日の検体では麻疹のIgGおよびIgMが高値だった。

疫学調査では疑わしい感染源を特定できなかった。患者は幼少時に麻疹罹患歴があり、また発症の1~2週前にパルボウイルスに感染した孫と接触していた。血清と鼻咽頭ぬぐい液が2月7日に再度採取され、麻疹のIgMもPCR検査も陰性だった。これを受けて最初の血清検体をパルボウイルスについて調べたところ、IgM高値かつIgGは陰性で、直近の感染として矛盾しなかった。

本事例から、疫学調査を十分に行うことが検査結果を正しく導くことが示唆された。仮に血清検査で麻疹を疑うようなIgM値が出ても、臨床症状や疫学的な接触歴から麻疹の可能性が低い場合、パルボウイルスを疑う必要性がある。

(CDC, MMWR, 61, No.21, 396, 2012)

 

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