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2011/12シーズン夏季におけるAH3亜型インフルエンザウイルスの流行―沖縄県

(Vol. 33 p. 242:  2012年9月号)

 

沖縄県では、2005年以降冬季のみならず夏季にもインフルエンザ流行が認められるようになり(IASR 26: 243-244, 200527: 304-305, 200629: 309-310, 200831: 297, 2010)、さらに近年、患者の発生は一年を通して報告されている(IASR 28: 322-323, 2007)。2011/12シーズンにおいても冬季流行後に終息することなく、再び夏季のインフルエンザ流行が認められたので、その概要を報告する。

今シーズンの県内におけるインフルエンザ流行は、第6週(2/6~2/12)に定点当たり患者報告数35.78人でピークとなった後、患者数は減少傾向となったが、終息することなく第26週(6/25~7/1)から再び増加に転じ、第29週(7/16~7/22)には21.10人で2回目のピークとなった(図1)。第26週以降の年齢別患者報告数は0~4歳が742人と最も多く、次いで30~39歳713人、20~29歳680人、5~9歳651人、40~49歳505人、10~14歳440人、50~59歳420人、80歳以上355人、60~69歳314人、15~19歳275人、70~79歳273人の順であった。県内の小中学校10校では臨時休業(学年・学級閉鎖)の措置が取られた。

リアルタイムPCR法により検出されたインフルエンザウイルスの型および亜型の動向を図1に示した。シーズン開始から冬季流行時(1~3月)はAH3亜型が86例、B型が14例検出され、AH3亜型が主流であった。しかし、4~6月はB型29例、AH3亜型6例、AH1pdm09型1例で、流行はB型へと移行したが、7月にはAH3亜型12例、B型2例が検出され、再びAH3亜型が主流となった。

夏季のAH3亜型ウイルスによる流行は、2004/05シーズン以来2回目である(IASR 26: 243-244, 2005)。当時、夏季のAH3亜型ウイルスによる流行は終息することなく10~11月には集団発生の報告があり(IASR 27: 45-46, 2006)、さらに冬季の流行株の主流となったことから(IASR 28: 322-323, 2007)、今後も引き続きその発生動向に注視していく必要がある。なお、ウイルス分離を実施し、引き続き抗原解析を行う予定である。

沖縄県感染症情報センター 久場由真仁
沖縄県衛生環境研究所  
喜屋武向子 平良勝也 高良武俊 岡野 祥 仁平 稔 久髙 潤
沖縄県福祉保健部健康増進課 松本直人 棚原憲実

 

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