国立感染症研究所

西アフリカ諸国におけるエボラ出血熱の流行に関するリスクアセスメント(2016年2月12日現在)

 

2016年2月12日
国立感染症研究所

発生状況(参照「WHO/Ebola Situation Report - 3 February 2016)

  • 2013年以降の西アフリカ3カ国におけるエボラ出血熱〔エボラウイルス病(EVD)と呼称される〕流行について、流行国であるシエラレオネ,ギニア,および、リベリアはそれぞれ2015年11月7日、2015年12月29日、および、2016年1月14日に終息を宣言した。なお、リベリアでは2015年5月9日、同年9月3日の終息宣言に続く3度目の終息宣言である。リベリアでは、一度目の終息宣言後から2016年1月14日までの期間に確定例計9例(うち死亡3例)が報告された。これらのうち感染源が明らかでない症例の一部は、回復患者との性行為による精液を介したエボラウイルス感染の可能性も指摘された。
  • シエラレオネでは、前述の終息宣言後90日間を、サーベイランス強化期間としていたが、終息宣言から68日が経過した2016年1月14日に、新たなEVD症例(以下、症例A)がシエラレオネのほぼ中央に位置するTonkoliliで確認された。症例Aは22歳の女性で感染源は不明であり、1月12日に死亡している。死亡後にウイルス学的検査によりエボラウイルスに感染していたことが確認された。この結果が得られるまでの間、症例Aがエボラウイルスに感染していることが疑われていなかったため、埋葬に際して適切な感染対策がなされなかった。シエラレオネ保健省はWHO(世界保健機関)等の支援のもと、接触者を積極的に同定し、追跡した。その結果、108名の接触者が同定され、症例Aの世話をしていた38歳の叔母もエボラウイルスに感染していたことが確認された。同患者は2月11日時点で回復退院した。同日時点で、残る接触者の健康監視も解除された。

日本にエボラウイルス感染者が入国するリスク

日本へ入国する渡航者がエボラウイルスに感染しているリスクは、極めて低いものの存在する。理由は以下のとおりである。

  • 日本へ入国する渡航者がEVD回復患者の場合、エボラウイルスが精液等の中に存在し続け感染源となることがあるが、全ての回復期患者がフォローされてはいるわけではない。実際、リベリアでは、終息宣言後の再燃(flare-up)を2度経験したが、感染の発端となった者は回復者であった可能性がある。
  • 現時点では西アフリカ各国においてなおEVD流行が発生する可能性が残っているといえるが、西アフリカ各国の終息宣言を受けて、旅行、ビジネスやボランティアを目的とした西アフリカ各国への渡航者が増える可能性がある。長期滞在および現地の人との濃厚接触の機会もあり得ると考える。

検疫での対応

西アフリカ各国では、EVD流行の終息宣言後であってもEVD流行が再燃する危険性がある。この危険性について渡航者へ注意喚起し、渡航歴・接触歴の自己申告を促す啓発活動を継続する必要があると考えられる。

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