国立感染症研究所
実地疫学専門家養成コース

第26期 研修員募集要項
Field Epidemiology Training Program Japan (FETP-J)

 

1.目  的

 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)」において、自治体における感染症対策に関する責務が明記されている。特に令和2年より新型コロナウイルス感染症が世界的に重大な公衆衛生上の問題となって以降、平時からの自治体における感染症の発生動向調査(サーベイランス)をより充実させること、突発的な健康被害が発生した場合に自治体で迅速かつ効果的に積極的疫学調査を行うこと、さらにはそれらに対応できる公衆衛生上の基盤的人材を養成すること、の必要性が急激に、より増大してきた。

 平成11年より、国立感染症研究所においては実地疫学専門家養成コース(以下「FETP」といいます。)が設置されている。その目標は、まさに平常時から質の高い感染症サーベイランス体制の維持・改善に貢献し、感染症の集団発生・流行時には迅速かつ的確にその実態把握及び原因究明に当たることのできる実地疫学専門家の養成であり、新型コロナウイルス感染症の出現により、FETPの必要性はますます高まった。令和5年3月現在、FETP修了者は100名を数えている。質の高いFETP修了者を大きく増やすという目標に基づき、国立感染症研究所で研修を受ける者のうち、2年目(あるいは1年目)を所属元自治体等で受けるように組み込む1+1研修(後述)は従前より実施されており、北海道では地域ニーズに合わせた1+1研修を導入し、FETPをシステマチックに養成する試みを運用してきた。さらに、研修員が日頃は地域での業務にも一定程度携わりながら、特色のあるFETP研修活動を地域の協力を得て展開し、全国的な人材育成に寄与することが構想され、令和5年度から沖縄県及び大阪府において正式に開始された。

 本要項は、国立感染症研究所FETP研修員の募集にあたっての要件等を定めたものである。

 地域研修拠点のFETP(拠点FETP研修員)に特化した募集は若干名として行われるが、本要項とは別に募集する予定である。

2.対  象

 国、自治体等において感染症対策等の公衆衛生業務に従事している者、あるいは従事しようとしている者、又は感染症対策等地域保健業務に従事しようとしている者、もしくは大学等において感染症対策の専門家の養成に携わっている者

3.期  間

令和6年4月1日~令和8年3月31日

※協力研究員の場合は令和6年4月~令和8年3月

 なお、基本的な2年の研修を終えた後に更に1年の研修期間の希望があれば、国立感染症研究所で審査を行い、3年目の上級者向け研修を受けることができる。この期間には、FETPの指導者としてのトレーニングを中心に、研究に軸を置いた活動など、個々のキャリアパスに応じた内容の研修を行う。

4.内  容

 国立感染症研究所で実施される初期導入コース、及び実地疫学研究センターを中心とした所のスタッフ並びにWHO・米国CDC等の海外専門機関や国内機関の専門家による指導により、次の事項を習得させる。

(1) 国内外の感染症危機事象(単独から広域までのアウトブレイク事例)の情報収集、リスク評価、実地疫学調査及び対応

(2) 感染症サーベイランスデータの分析・評価方法

(3) 国内外の感染症危機事象に関する情報の還元・発信

(4) 疫学的・統計学的研究手法

(5) 感染症危機事象の調査・対応に関する教育経験

(6) 公衆衛生の現場で必要とされる疫学・統計学及び関連法規に関する基礎知識

(7) 感染症疫学研究の国内または海外における論文や学会での発表

5.研修場所

国立感染症研究所実地疫学研究センター

(研修の2年目については、事前相談を必須として、所属元自治体等における研修も組み込むことができる。)

 全体について、国立感染症研究所実地疫学研究センターで研修を受ける者のうち、2年目(あるいは1年目)を所属元自治体等で受けるように組み込んだ者(実地疫学研究センターでは1+1研修と呼称)、また、研修を拠点で受けるように組み込んだ者は、原則として研修を優先させること。自身の業務等の調整は所属元の担当者と相談すること。1+1研修員や拠点の研修員が3年目の上級者向け研修を希望することは出来るが、3年目はFETPの指導者としてのトレーニングを中心に行うことから、国立感染症研究所実地疫学研究センターで研修を行うこととする。

6.研修修了

 所定の修了要件を満たしたすべての研修員については、国立感染症研究所が発行する実地疫学専門家認定書を授与する。

7.募集人数

 予算等の状況に応じて適正な人数を選考する。

8.応募資格

(1)から(3)のいずれか、及び(4)から(7)までのすべての要件を満たす者

 ただし、国家公務員として採用される場合は、研修期間中に定年年齢へ達しないこと。

 

(1) 国、自治体、地方独立行政法人等(試験研究機関に限る)において感染症対策等の公衆衛生業務に従事している者、あるいは従事しようとしている者

(2) 感染症対策等地域保健業務に従事しようとしている者

(3) 大学等において感染症対策の専門家の養成に携わっている者

(4) 医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、保健師、看護師、臨床検査技師等の専門資格を持つ者(任用資格である食品衛生監視員、環境衛生監視員等を要件として認める場合がある)

(5) 感染症危機事象の調査・対応に熱意を持ち、研修修了後に、感染症対策等の公衆衛生業務やFETPネットワークの強化に貢献する意欲のある者

(6) 研修中は国内外の情報収集等を行うため、英語を用いたコミュニケーションに意欲のある者(なお、運用能力については、最低限大学レベルの読解能力を持ち、口頭又は文面でのコミュニケーション能力があることが望ましい)

(7) 2年以上の臨床研修あるいは2年以上の公衆衛生活動(例:行政等における疫学調査や関連する業務等)に従事した経験を有する者

9.研修員の身分等

 国立感染症研究所実地疫学研究センターで執務する研修員は、令和6年度については、国家公務員である任期付研究員として採用される。令和7年度以降については15.その他、に記載の情報を参照のこと。

 なお、国、自治体等から派遣の場合には、国立感染症研究所の協力研究員となる。

 ただし、協力研究員に対する給与・諸手当等は国立感染症研究所から支給されない。

 

任期

 

採用予定日(令和6年4月1日)より2年

※基本的な2年の研修を終えた後に更に1年の研修期間の希望があれば、国立感染症研究所で審査を行い3年目の上級者向け研修を受けることができる(「3.期間」、を参照のこと)。3年目終了時点で、任期満了後に任期の定めのない官職の公募に応募することは差し支えない。

 

処遇

 

以下は国立感染症研究所任期付研究員として採用された令和6年度のFETP研修員に関するものである。令和7年度以降については15.その他、に記載の情報を参照のこと。

(1) 給与は、「一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年法律第65号)」等に基づき支給する。

(2) 1週間当たりの勤務時間は、38時間45分(週休2日制)となる。

(3) 事例対応時には時間外の勤務や土日祝日の出張の可能性もある。

(4) 年20日の年次休暇(採用の年は、採用の時期により20日より少ない日数となる。)のほか、特別休暇(夏季・結婚・忌引・ボランティア等)、病気休暇の制度が整備されている。

<協力研究員としてのFETP研修員に関して>

 協力研究員に対する給与・諸手当等は国立感染症研究所から支給されない。

10.経  費

 研修期間中は感染症危機事象発生時の実地疫学調査に係る経費及び疫学的研究等の経費は、国立感染症研究所が負担する。

 ただし、研修期間中の宿泊施設については、各自で用意すること。

 また、研修の2年目など一定期間を所属元自治体等に組み込んだ場合は、研修のため往来する費用は所属元が負担すること。

11.採用スケジュール(案)

応募期間:令和6年1月4日(木)~令和6年1月30日(火)※必着

書類選考:書類選考の結果については、2月1日に当方からメールで連絡します。

面接試験:Webで実施します。

     なお、事前に参考として適性に関する検査を受けていただく場合があります。

 

1回目 (主に自治体職員以外の応募者)令和6年2月 8日(木)

2回目 (主に自治体職員の応募者)  令和6年2月 9日(金)

 

合格発表 :令和6年2月22日(木)

採用予定日:令和6年4月 1日(月)※なお、登庁日等については、後日連絡します。

12.出願書類

(1) 派遣機関の公文書(自治体等からの応募者に限る)

 自治体等からの応募については、派遣中の身分及び2年目の研修場所を明示すること                   (新様式別紙参照

(2) 出願書(様式第1号

(3) 履歴書(様式第2号

(4) 志望調書(様式第3号

 ※参考情報として、これまでに発表した論文リストがあれば添付

(5) 推薦状 1通

 自身の経歴、研究内容、人柄等を知る第三者(所属長、職場の上司、過去に指導的立場にあった者、自身の研究内容について関連のある者等)から、FETP応募に際し、応募者の目的への適合性、これまでの職務・研究等の評価、人柄等について推薦が出来る者に作成を依頼すること。

(様式自由:1通につきA4用紙1枚程度 ※文末に推薦者の署名もしくは押印が必要)

 推薦状作成者には後日、推薦状の内容について事務局から連絡をするので日中、連絡が可能な連絡先(メールアドレス、電話番号)を明記すること。

(6) 医師、獣医師等専門資格免許証の写し

(7) 語学力資格の写し(資格を所持している場合に限る)

 ※(2)~(4)は必ず添付の様式(Wordファイル)を使用すること。

13.提出先

 国立感染症研究所 実地疫学研究センター長 砂川 富正

 〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1

 Tel 03(5285)1111  内線 2583

※ 出願書類の提出に当たっては、封筒に「FETP出願書類在中」と朱書きすること。

14.出願締切:令和6年1月30日(火)※必着

15.その他

 国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、新たな法人として「国立健康危機管理研究機構」を設置する「国立健康危機管理研究機構法」が令和5年6月7日に公布され、この法律の施行期日は、一部の規定を除き、公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日となっています。このため、当該法律の施行により国立感染症研究所が法人となった場合、その日以前に本公募により国立感染症研究所職員として任用されていた者は、国家公務員ではなくなり、法人職員となります。

16.照会先

<FETPの研修内容・研修期間・身分等の事前相談、その他コース全般に関すること>

 

 国立感染症研究所 実地疫学研究センター

 第一室(飯田橋オフィス)

 TEL:03-6261-5930(担当:郡(こおり))

 Email:q-fetp[at]nih.go.jp

※Emailは[at]をアットマークに変えご利用ください。

 

17.備 考

 本コースは国際的な実地疫学専門家(Field Epidemiologist) の養成コースに準拠した、厚生労働省の認定する研修である。

※FETPの基本方針や研修内容等について詳細をお知りになりたい場合は、事前のご相談や訪問をお薦めします。これらに関するご質問は、上記の実地疫学研究センター第一室宛てにご連絡下さい。

 

以上。

 

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