国立感染症研究所

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日本のHIV感染者・AIDS患者の状況
(平成25年9月30日~12月29日)

(Vol. 35 p. 82-84 : 2014年3月号)

平成26年2月28日
厚生労働省健康局疾病対策課
第136回エイズ動向委員会委員長コメント
 
《平成25年第4四半期》

 【概要】

1.今回の報告期間は平成25年9月30日~平成25年12月29日までの約3か月
2.新規HIV感染者報告数は295件(前回報告261件、 前年同時期257件)。そのうち男性282件、女性13件で、男性は前回(251件)および前年同時期(246件)より増加、女性は前回(10件)および前年同時期(11件)より増加
3.新規AIDS患者報告数は108件(前回報告108件、前年同時期114件)。そのうち男性101件、女性7件で、男性は前回(102件)および前年同時期(107件)より減少、女性は前回(6件)より増加、前年同時期(7件)と同数
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は403件

【感染経路・年齢等の動向】

1.新規HIV感染者:
 ○同性間性的接触によるものが205件(全HIV感染者報告数の約69%)
 ○異性間性的接触によるものが51件(全HIV感染者報告数の約17%)。そのうち男性42件、女性9件
 ○静注薬物によるものは2件(うち、その他に計上されているものが1件)
 ○年齢別では、 20~30代が多い。
2.新規AIDS患者:
 ○同性間性的接触によるものが59件(全AIDS患者報告数の約55%)
 ○異性間性的接触によるものが25件(全AIDS患者報告数の約23%)。そのうち男性21件、女性4件
 ○静注薬物によるものは3件
 ○年齢別では、30~40代が多い。

【検査・相談件数の概況(平成25年10月~12月)】

1.保健所におけるHIV抗体検査件数(確定値)は34,161件(前回報告24,533件、前年同時期26,597件)、
自治体が実施する保健所以外の検査件数(確定値)は8,916件(前回報告7,310件、前年同時期7,223件)

2.保健所等における相談件数(確定値)は43,077件(前回報告31,843件、前年同時期33,820件)

【献血の概況(平成25年1月~12月)】

1.献血件数(速報値)は、5,205,819件(前年同時期速報値5,271,103件)

2.そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数(速報値)は63件(前年同時期速報値68件)。10 万件当たりの陽性件数(速報値)は、1.210件(前年同時期速報値1.290件)

《まとめ》

1.前回に比し、新規HIV感染者報告数は増加し、新規AIDS患者報告数は横ばいであった。

2.前回および前年同時期に比し、保健所等におけるHIV抗体検査件数、相談件数ともに大幅に増加した。
 検査・相談件数増加要因としては、12月1日の世界エイズデーにあわせた各自治体のイベント検査による増加、輸血によるHIV感染報道の影響が考えられる。

 3.早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、今後も保健所等の無料・匿名HIV抗体検査および相談を積極的に利用していただきたい。

《平成25年 年間報告(速報値)》
【概要】
1.今回の報告期間は平成24年12月31日~平成25 年12月29日までの約1年(四半期ごと速報値の合計)
2.新規HIV感染者報告数は1,077件で過去3位
3.新規AIDS患者報告数は469件で過去2位
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は1,546件で過去2位
※これまでの最高は、平成20年(確定値)でHIV感染者は、1,126件、AIDS患者431件、合計1,557件。
 
【感染経路・年齢等の動向(速報値)】

1.新規HIV感染者:
 ○同性間性的接触によるものが760件(全HIV感染者報告数の約71%)
 ○異性間性的接触によるものが189件(全HIV感染者報告数の約18%)
 ○静注薬物によるものは7件(うち、その他に計上されているものが6件)
   ○母子感染によるものは1件
 ○年齢別では、特に20~30代が多い 。

2.新規AIDS患者:
 ○同性間性的接触によるものが268件(全AIDS患者報告数の約57%)
 ○異性間性的接触によるものが110件(全AIDS患者報告数の約23%)
 ○静注薬物によるものは7件(うち、その他に計上されているものが4件)
 ○母子感染によるものは0件
 ○年齢別では、特に30歳以上が多い。なお、40歳以上が約63%を占めている。
 

【検査・相談件数の概況(平成25年1月~12月)】

1.保健所等におけるHIV抗体検査件数(確定値)は136,400件で過去4位(過去最高は平成20年177,156件) 
2.保健所等における相談件数(確定値)は145,401件で過去10位 (過去最高は平成20年230,091件)

《まとめ》

1.平成25年は速報値ではあるが、ここ数年間、新規HIV感染者と新規AIDS患者を合わせて約1,500件の報告があり、横ばい傾向のまま高止まりしている。

2.年齢別の新規HIV感染者報告数は、特に20~30代で多く、感染経路として同性間性的接触の割合が最も高い。

3.新規HIV感染者および新規AIDS患者報告数の合計は、ここ7年間で1万件以上報告されており、累積では、22,971件の報告がある。

4.検査を受け、早期に治療を始めることでAIDSの発症を防ぐことが出来る。新規AIDS患者報告例の年齢ピークが30代から40代へと上昇傾向を示し、40歳以上が約63%を占めている。また、新規HIV感染者・新規AIDS患者報告数に占める新規AIDS患者報告数の割合は依然として30%を超えたまま推移している。以上から、検査は未だ十分行き届いていないと考えられる。

5.平成22年以降、保健所等におけるHIV抗体検査件数はゆるやかではあるが増加傾向を示しているものの、相談件数は減少傾向を示しており、社会のHIVへの関心の低下が懸念される。

6.速報値ではあるが、献血における10万件当たりの陽性件数は減少傾向であった。

7.国民の皆様には、積極的にHIV検査を受けていただきたい。自治体におかれては、エイズ予防指針を踏まえ、引き続き利便性に配慮した検査相談体制を推進していただきたい。

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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