寄生動物部は原虫、蠕虫などの寄生虫に起因する感染症における病原機構、並びに感染防御に関する基盤的研究を行っている。また、これら寄生虫症の疫学、サーベイランス、診断、予防、治療に関する応用的研究を行っている。同時に、臨床からの検査依頼や診断・治療に関する相談に応じている。寄生虫症の消長は食生活の変化、地球温暖化、薬剤耐性出現等の社会、自然要因に大きく影響されており、常に新興再興感染症の隆盛を注視している。このため国内外の研究所・大学との研究協力や相互交流を積極的に行っている。

第一室(原虫室)

赤痢アメーバ、ジアルジア、クリプトスポリジウムなどの水や食物を介して感染する腸管原虫による感染症の病原機構に係る研究を行っている。また、角膜炎・脳炎・肺炎の原因となる自由生活性アメーバや、胎児や免疫不全者に網脈絡膜炎や脳炎を引きおこすトキソプラズマの病原機構に関する基礎研究を行っている。また、同時にこれらの原虫感染症の疫学、分子疫学的調査、並びに診断・治療法の開発を行っている。

第二室(蠕虫室)

食品由来、並びに動物由来の寄生蠕虫症 (アニサキス症、肺吸虫症、横川吸虫症・異形吸虫症、裂頭条虫症、エキノコックス症、アライグマ回虫症、トキソカラ症など) に関し、遺伝子診断法や血清診断法開発のための基礎的研究や疫学的研究を展開している。得られた成果は寄生虫情報として発信するとともに、医療機関や行政機関からの要請に応じて検査診断をサポートするなど社会貢献を果たしている。

第三室(外来寄生虫室)

マラリアやシャーガス病など、海外からの流入が問題とされる寄生虫症の病原・免疫機構に関する基礎的研究や診断・対策に関わる応用研究、寄生原虫の薬剤耐性に関する研究を実施している。また、これらの寄生虫症の診断や治療に関する相談にあたるとともに、熱帯地域を中心として問題となっている外来寄生虫症防疫のため、国内連携の強化(空港検疫所、地衛研など)と、国際連携の強化(アジア流行地、欧米諸国など)を積極的に行っている。


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