| 食品成分有効性評価及び健康影響評価プロジェクト解説集 |
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2004/08/17 |
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| いわゆる健康食品素材中のアレルギー誘発物質について | |
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廣田 晃一 (国立健康・栄養研究所 健康栄養情報・教育研究部) |
いわゆる健康食品素材中のアレルギー誘発物質について
みなさんは、健康食品がアレルギーを起こすと聞いてどう感じますか? よくアトピーや花粉症に効くものとして宣伝されている健康食品で逆にアレルギーが起こるなんて、おかしいのではないかと思うかもしれません。でも、健康食品というのは実にさまざまな種類があるので、あるものはアトピーのようなアレルギーを直すかもしれないし、他のあるものはアレルギーを起こすかもしれないのです。
アレルギーは免疫の仕組みがうまく作動しない状態をいいます。体の中に異物がはいってくると、白血球やリンパ球がかけつけて食作用で分解しますが、ここで充分処理できないとリンパ球などが特異的にこの異物を攻撃できるような抗体を作ります。再び体の中に同じ異物が入り込むと 抗体がマスト細胞などにヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出させます。これらの伝達物質が例えば血管に働くと血管は拡張し、漏れ出して蕁麻疹がおきますし、気道の筋肉につくと筋肉は強縮して吸った息が吐き出せなくなります。食物アレルギーは一般に食べている、本来危険でない食物が原因となって、体の中の抗体が増えてひき起こされる過敏反応です。皮膚に湿疹やじんましんがでる、喘息がおきる、下痢をするなど全身に症状がでます。アレルギーは原因になる物質が過去に体の中に入り込んで抗体を作ったという場合に起こるもので、誰にでも起こるわけではありません。しかし一度アレルギーになってしまうと回避・軽減するには原因物質を摂取しないようにするしかありません。
一般に高タンパク質・高脂肪の食品でアレルギーになりやすいように思われますが、アレルギーの原因物質(アレルゲン)は薬剤や多糖類など多種多様に存在します。食品では、卵、牛乳、大豆はよく知られています。穀物ではそばが有名ですが、お米でアレルギーが起きてしまう人もいます。最近では果物で起きてしまう例も増えています。抗生物質のペニシリンのような低分子の薬剤や、血が固まるのを防ぐヘパリンのような多糖類でも起こります。
このように何でもアレルゲンになる可能性があるのですから、健康食品がアレルギーを起こしたといっても少しも驚く必要はありませんし、また、どのような健康食品がアレルギーを誘発しやすい傾向があるかも一概には決められません。でも、多くの食物アレルゲンがタンパク質であることから考えて、タンパク質を多く含む健康食品はアレルギーを起こす可能性が、より大きいと思われます。大豆やにんにくのように元々アレルギーを起こすことが知られている食品を素材にしているものは当然としても、グアーガムやキチン・キトサンのような多糖類素材、茶、グアバ茶や桑茶のような茶素材など、どちらかというとアレルギーを治すために使われそうな食品素材にもアレルギー症例の報告があります。

健康食品は元来食べる必要のないものですが、健康増進のためにプロテインを摂ったり、
おなかの調子を整えたいからヨーグルト類を食べる、ダイエットのため食物繊維豊富な食品を食べる、血圧が気になるから・・・というように最近たくさん利用するようになりました。また、非常に多くの食品が販売されて、中には成分がはっきり分からないものもありますし、健康食品の性質として長期間食べ続け・飲み続けることがありますので、健康食品を購入して食するときは気をつけなくてはなりません。千差万別の健康食品素材のうち 41種類をパブメドという医学情報のデータベースで調べてみたら、アレルギーが起きたと報告されたものは22種類(54%)ありました。
【検索した食品素材リスト】
《A.一般的な健康食品素材》
アロエ/イチョウ/カプサイシン/ガルシニア/キャッツクロー/クロレラ/桑/ケール/コラーゲン/ざくろ/シルク/スピルリナ/セラミド/朝鮮人参/月見草油/ドコサヘキサエン酸/にんにく/バナバ茶ポリフェノール/ヒアルロン酸/ビタミンE/ひまわりの種/プロポリス/マテ茶/メラトニン/ラクトバシルス/卵油/霊芝/レシチン/ロイヤルゼリー
《B.特定保健用食品に用いられている食品素材》 アルギン酸ナトリウム/オリゴ糖/キトサン/グアーガム/サイリウム/ジアシルグリセロール/大豆たんぱく質/茶/グアバ茶ポリフェノール/難消化性デキストリン/バリルチロシン/かつお節オリゴペプチド
このうちアレルギーを起こしたか疑いがあるという報告のあるのは次のもので、数字は報告の件数です。
アロエ(3)/イチョウ葉エキス(5)/カプサイシン(19)/クロレラ(3)/桑(5)/コラーゲン(2)/ざくろ(3)/シルク(21)/朝鮮人参(1)/にんにく(33)/ひまわり(36)/ロイヤルゼリー(11)/キトサン(2)/グアーガム(4)/サイリウム(25)/大豆たんぱく質(17)/茶ポリフェノール(4)/グアバ茶ポリフェノール(1)/霊芝(2)/プロポリス(34)/ヒアルロン酸(2)/レシチン(4)
パブメドは主に英語圏の情報です。取り上げた素材の中には欧米ではほとんど知られていないものもありますから、実際にはもっと多くの素材にアレルゲンが含まれていると思われますが、これだけでもけっこうあると感じられた読者の方も多いのではないでしょうか?
アレルギーはアレルゲンをたくさん食べたからといって起こるのではなくて、たとえば食品工場で製造に携わっていて たくさん粉末を吸い込んで症状がでてしまうこともあります。病院の調理で、患者さんが飲み下しやすいように使う増粘多糖類を日常的に吸い込んでいた調理係の方が その増粘多糖類のアレルギーになってしまう例もあります。また交差性といって、近縁の植物どうしで同じ成分や似た成分を持っていて、ひとつの食品でアレルギーが起こってしまったら それに近い食品にも感受性が生じてしまうことがあります。最近知られるようになったラテックスアレルギーは、ラテックス(ゴムの樹液)を原料にした手袋や歯の詰め物、風船などを頻繁に扱ううちに粉末を吸い込んで抗体ができてしまい、ラテックスに近い成分を持つバナナ、アボガドなどの果物で症状がでてしまうというアレルギーです。普段おいしく食べているチョコレートでも、食べてすぐに激しい運動をしたら症状がでてしまった例もあります。ピーナツクッキーを作った設備で、洗浄が不十分だったために 次に作ったバニラクッキーにピーナツが混入してしまい、アレルギー症状が起きたこともあります。
今後健康食品利用の増加に伴いアレルギーも増加すると思われます。アレルギーを起こさないためには何がアレルゲンなのかをみきわめ、それを含む食品を食べないことが第一です。そのためにアレルギーに関する情報を広く集め、食品へのラベル表示を徹底していく必要があるのです。

参考文献
「子どもの食事とアレルギー Q&A」 戸谷誠之・鳥居新平編 第一出版
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